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恋人_9

二本に増やされた指も難無く受入れた身体は、まだ刺激が足りないと疼く。 押し広げられた内壁をもっと、もっと抉ってほしい……。もっと、熱いので……。 「……はら、しのは、ら……も、いい……おねがい、なかほしい……」 「……ん、中とろとろになってるしな」 ズルっと指を抜かれて、続いて聞こえてきたのはベルトの金属音。 下に目をやれば男らしく張り詰めた篠原の起立が俺の後孔へと宛てがわれていた。 「あ……大っきい……」 俺のと全然違う……。 着けられた薄いゴムがまた生々しさを増していて、堪らず息を呑んだ。 「息止めるなよ」 俺がコクリと頷いたのを合図にグッと押し進められた腰。 「――っ……うぁ……ッ」 これ、圧迫感が……息、息しなきゃ……。 「あ……はっ…はぁ……ぅう……」 「〜〜っ……浅井、俺の名前覚えてる?」 「ふ、ぅ……んぇ?な、まえ……?」 「そう、名前」 そんなの覚えてるに決まってると頷く。 「呼んで」 「……っい、ま………?」 「うん、今」 何で今?今それどころじゃ……。 「な、お願い」 そうやって乞うような目を向けてくるのは些かズルい。 「う……っ……かげ……美影……」 「俺の事好き?」 「すき……ずっと、すき……美影がすき……美影だけが、ずっとすき……」 好きって言うと不思議と圧迫感も薄れて、もっと奥へと欲しくなる。 「うぅ……すきっ……もっと、ぜんぶ……ほし…、ぃ」 とんっと下肢がぶつかる感覚。 「全部、挿った……」 「ぜんぶ……ほんと……?ぜんぶ……?」 「本当、全部」 感じる熱量と幸せそうに笑ってくれる表情にこの上なく心が満たされる。 「うれしぃ……すき、おれ……しあわせ……っ」 「俺もだよ。……ここ噛んでいい?」 なぞられた項からゾクゾクと快感が這う。 「うん……うん……っ!噛んで……」 「ありがとう。宗一…………――愛してる」 「あ……っ……!ひぁ……ぃ……あぁ……!」 掻き抱かれながら項に走る鈍い痛み。身体はそれを悦び、同時に我慢出来なかった精を吐き出した。 身体は絶頂と今まで感じた事のない昂揚感に震える。 「う……ぁ……あ……っ」 篠原の匂いを嗅ぐと心底安堵が生まれる。身体が自分のαであるのだと認識してるみたい……。 うれしい……きもちいい…………すき、だいすき……っ。 「〜〜はぁ……っ……大丈夫か?痛みとか…………――宗一?」 「すき……すき……だいすき……や、はなれないで……!」 「っと、そんなにしがみつかなくても何処にも行かな――」 「――や!やだ!すき、すきだから……はなれないで……」 「宗一…………もしかしてトんでる?」 声がする。大好きな声。 この声にずっと呼ばれていたくて、側に居てほしくて、俺はずっと頑張ってきたんだ。 「ずっと……ずっと、いっしょにいて……」 「ああ、離れないよ。ずっと一緒だ」

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