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SS_嫉妬4

宗一の身体を俺に受け渡して汐野は初めて表情を崩した。 「浅井はよく篠原さんの話をしています」 「俺の?」 「安心してください、悪口なんかじゃないですから。惚気話ばかりです。羨ましいぐらいに」 「…………」 「それでは、夜分遅くに失礼しました」 一瞬垣間見た柔らかな表情は気の所為だったのかもしれないと思ってしまう程、去り際の汐野は無表情に戻っていた。 ドアを閉じて腕の中の宗一に目を向ける。 「ふふ、みかげただいまぁ」 「おかえり、宗一」 額に軽く口付けてやれば安心しきった顔をして、胸にぐりぐりと頭を擦り寄せてくる。 可愛さに胸が擽ったい。 寝室のベッドへ寝かせ、スーツから部屋着へと着替えさせて、俺自身も同じくベッドに寝転がった。 直後、宗一はもぞもぞと動き出し俺に身を寄せる。 「…………宗一、やっぱり今日寂しかった?」 「んぅ………?なぁに……?」 「…………いや、何でもない。宗一、首に腕回して」 多分言っていることの半分も理解していないだろう宗一の腕を取って、首元へと誘導する。ニコニコと頬を赤らめたまま、宗一は為すがままに俺へと抱きついた。 「みかげ、みかげだ」 「ん、あんま妬かせてくれるなよ」 「?」 首を傾げた宗一が不思議そうに俺を見る。随分狭量な男になったもんだと自嘲しながら、キスを落とした。 「今日はごめんな」 「きょう……?きょうは……みかげ、おめでと!たんじょび、おめでと!」 「…………ああ、ありがとう。誕生日だから一つだけ我儘言っていい?」 「ふふ、いーよ!」 「明日は宗一の事独占したい。どこにも行かずに、ここで宗一を沢山愛したい。今日の分まで」 力強く抱き締めた身体は「いーよ……」と小さな呟きを残して脱力すると、次の瞬間には微かな寝息が聞こえてきた。 「ふっ、可愛い顔。おやすみ、明日は今日の分も幸せにするから」 【SS_嫉妬 END】

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