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第四章 花火の後に

 学校は夏休みに入り、学業はやや楽になった。  補習のない日は、フリーだ。  土日祝日も、模試のない日は休める。  そんな休日前に、雄翔は都を誘った。 「花火大会に行かないか? 二人で打ち上げ花火を観よう」 「う~ん……」  花火大会の会場は、有料スペースになっている。  素敵な屋台が出て、誘ってくる。  お小遣いが、いくらあっても足りないのだ。  そして都は弟二人に、すでにお小遣いを与えていた。  自分の分までは、ちょっと厳しい。 「ね、雄翔。僕の家で、花火しない?」 「都の家で?」 「手持ち花火、しようよ。スイカも出すよ?」  雄翔はOKしてくれた。

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