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③無防備 ─迅─9※
っていうか、なんつーか。
チビがチビなのは知ってたけど、身長差を数字で表すとそれがすげぇその……あれだ。
言葉を選ばないと、俺自身もビックリな単語がうっかり出ちまいそうになる。
「……マイナス二十七センチか。 へぇ〜。 ……ふーん」
「なんだよ! どうせその憎たらしいツラは俺のことバカにしてんだろ! 人の身長聞いといて感心するのはどうかと思うぞ!」
「チビは見りゃ分かる事だし。 別に感心してねぇよ」
「じゃあその「ふーん、へぇー、ふーん」って何なんだよ! 腹立つ!」
「んな怒んなよ。 俺はただ、かわ……」
「皮?」
……おっと。 いけねぇ。 ビックリ発言が飛び出すとこだった。
俺も雷も得しない失言は飲み込んでおくに限る。
お互いのチン○触っても何とも思わねぇで、おまけに扱き合ってイくなんてどう考えてもダチのライン越えてんだけど、俺の口車にのせられたままの雷はずっと無防備だ。
チビだから。 猫目の女顔だから。 バカみてぇに素直で無邪気だから。 俺にビビんねぇから。 喘ぎ声が下半身直撃だから。
なんやかんや、俺には従順だから。
"可愛い" 。
「うるせぇ。 なんでもねぇ。 大会再開するぞ」
「迅が言うとラップ歌ってるみたいだな」
「韻踏んだつもりはねぇよ」
「皮ってなんだよ?俺一応剥けてるよな?」と首を傾げる雷の両手を払い除けて、俺は右手で二つのチン○を握った。
左腕は雷の腰。
もっと近くに寄れ、って意味で抱き寄せると、何も命令してねぇのに雷は俺の首元に両腕を巻き付けてきた。
まるでカレカノの対面座位みたいな格好だ。
だが俺たちの間には何も生まれない。
雷はCカップ美乳じゃねぇし、その前に俺と同じもんが股間にある男だし、何より……ダチだし。
「あっ……迅、っ……迅……っ」
ちょっと扱いただけで、ローション要らずの童貞チン○。
カリの先端から先走りをトロットロ溢れさせるから、俺のナニまで濡れてきた。
勃起するとさすがに俺の手のひらでも二本は握り込めねぇが、擦り合わせて扱くのはかなり気持ちいい。
大会ごとに俺の名前を呼ぶ頻度が増えた雷の声と、明らかに興奮した息遣いに毎回耐えてた俺って遅漏界の英雄じゃん?
「なに」
「いや違っ……呼んでねぇ……!」
「呼んでるだろ、さっきから何回も」
「何回もっ? そんな、あっ……♡ 呼んでる……!?」
「あぁ」
「ご、ごめん……! キモいよな、俺……っ、なんで迅の名前呼んじまうのかな……。 耳栓、しとく?」
「は? やめろよ。 俺の楽しみ奪うな」
「あ、じゃあ、目瞑れ!」
「なんで」
「いいから!」
何なんだよ。 キモいなんて一言も言ってねぇだろ。
俺の首に絡みついてた両腕がサッと離れていく。 そして何故か、雷の小せえ手のひらで目元を隠された。
なんで目瞑らなきゃなんねぇの。 トロ顔見えなくなるじゃねぇか。 ……とは言えず、しかもバカ雷にゃんの頭の上に豆電球が現れてピカッと光った。
何かひらめいたらしいんで、優しい俺は黙って目を閉じでやる。
「ん」
「そのまんま、なっ? お前どんな女が好みなのか知らねぇけど、その人にシコシコしてもらってるって想像しろ! それだったら俺が迅の名前呼んでても気になんねぇよな!」
「……は?」
お前、バカ?
雷の頭上に光った豆電球を、すぐさま消灯させる。
バカなひらめきを聞いた俺は、話になんねぇとばかりに目を開いてチン○を扱いた。
瞬間的にカッと頭に血が上ったのが分かったが、止められなかった。
「あ、っ? 痛……っ、迅! そんな強くしたら……ッ、俺のつぶれちまう!」
「なんで俺が想像上の女をおかずにシコらなきゃなんねぇの」
強く握って扱いた分だけ、ぐちゅぐちゅと液体が擦れる音も増す。
いかにも「名案だろ!」とでも言いたげに、脛蹴りを披露した時と同じドヤ顔をされたが不愉快でしかない。
想像なんてしなくても女には不自由してねぇ。
それ以前に、リア充ヤリチンな俺はまずゲイでもバイでもない。
ストレートなんだよ。
それなのに俺はお前のチン○を握ってる。 扱いて、喘がせて、乳首噛みてぇ、唇舐めてぇとか思ってる。
ダチのライン越えて突っ走っても、 "若気の至り" を言い訳に使えばいい。
男子高校生は軽率なことさえ思い出になったりするだろ。
俺は今、雷を相手にしてんだ。
バカな事をひらめくんじゃねぇ。
「いっ……痛いって、迅ッッ」
「俺の萎えてるか?」
「なえ、っ? んにゃ、……っ?♡ 萎えてねぇよっ? 迅の迅はギンギンで立派っすよっ?」
「それなら想像する必要なんて無えよな?」
「でもッ……でもッ!」
「なんだよ」
「ぅっ……♡ いや、迅が気持ち悪りぃって言うから……!」
「言ってねぇよ」
「たぶん俺、迅が目の前にいるから、名前呼んじまうんだ!」
「……あ?」
俺が目の前にいるから?
何言ってんの、コイツ。
性欲に忠実で中坊みたいに無邪気だ、無知だとは思ってたがここまでとは。
俺は、相手がお前じゃなかったらこんなめんどくせぇ大会毎晩開いてねぇっつーの。
対してお前は、大会参加は希望者全員オッケーですよって?
んなの……俺じゃなくてもいいって聞こえんぞ。
「へぇ? じゃあお前は、ヌきっこ大会の相手がもし翼だったら、アイツの名前呼ぶってこと?」
「いやそれは分かんねぇよ! まだ翼とは大会開いてない、……あ、やらっ……迅ッ……なんでキレた……っ? んンン……ッッ♡」
「地雷踏んだな、雷」
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