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⑪情交 ─迅─⑩※
雷が俺の声に弱えって言うなら、間違いなく俺もそうだ。
全身で俺を誘ってきやがる上に、唾液で濡れた唇を半開きにして見上げてくんのは、雷のトロ顔。
カーテンのついでに電気も消しとけば良かった。
視界に入る雷の全部が目の毒で、体ン中はドキドキうるせぇし、脳内はこの状況に狂喜乱舞してるし。
童貞かっつー寒いノリツッコミ、何回やればいいんだ。
「ぬ、抜きっこ大会、するのか?」
「ん? なんで?」
「だって俺のチン○、……人質に取ってる、から……」
「あぁ、迷ってる」
「迷ってんのッ? 百戦錬磨の迅が……ッ?」
「うるせぇな、それ言うなって」
「なんでだ……ンッ♡」
相変わらずそれを言われると頭にくる。
前からそう言ってんのに学ばねぇ唇を塞いだ俺は、めちゃめちゃ情けねぇが雷の薄い胸に倒れ込んで弱音を吐いた。
「雷にゃんの前では童貞男子と変わんねぇよ、俺」
「えッ!?!? 何言ってんのッ? 過去は変えらんねぇよ!?」
「順序忘れてんだ。 次どうしてたっけ、俺」
「知るか!!」
そうだよな、雷が知るわけないよな。
これは俺が無神経だった。
でも分かんねぇんだよ。 こんなに迷いながらセックスした事ねぇから。
どうやったら雷は気持ちいいのか、ビビらせねぇように進んでくにはどこまでやっていいもんか、大口叩いたわりに一つも実行出来てねぇ気がする。
今日はとことんエロい事をしまくるつもりだったのに、ねちっこいキスして乳首舐めて、雷の声聞いたらもう……浮ついた心が俺の手の届かねぇとこまで飛んでいっちまってる。
握ったチン○は絶賛期待中で、気紛れにふにふに扱く度にピクッと揺れて強度を増し、俺の掌の中で可愛い反応を示してるから、……って事は逆に俺が雷に導かれてんのか。
「とりあえず雷にゃん、一回イっとく?」
「へッ? あ、あぁッ、いきなりそんな……ッ♡」
久しぶりだから忘れてた。
雷のチン○は本人よりも泣き虫で、強く扱くとすぐに発射準備に入ろうとする。
目尻に涙をいっぱい溜めて俺の肩を弱々しく掴んだ雷は、わざと耳に届くようにくちゅくちゅシコると、途端に甘ったるく喘ぎだした。
土壇場で草食系に成り下がってた俺も、その切り替えの早さにかなり煽られた。
「だってな、可哀想じゃん。 カウパーやべぇんだよ。 イきたいって泣いてんの」
「は、ぁッ♡ あぁッ……ンッ……♡」
「雷にゃん、指舐めて。 噛んでもいいから」
「ン……ッ? ん、む……ッ♡」
「あぁ、……気持ちいい。 上手いじゃん」
「んむ、んむっ♡ ……ひもひぃッ?」
「器用だな、指咥えてて喋れんの?」
「ん、ッ♡ ンンッ♡」
「へぇ……」
小刻みに頷くから、指が上顎と舌にムニュッと挟まれて腰が震えたんだが。
指フェラ、マジで気持ちいい。
「ンむッ……んッ……♡ ンン……ッ♡」
「そうそう、舌うまく使って」
「ふ、ッ……ン……ッ♡」
「指を俺のチン◯だと思って、気持ちよくして」
「ふぅぅッ♡ ンッ♡」
「あとで俺も、舐めてやるから」
「ンッ、ンンッ♡ ンン〜〜ッッ♡」
扱く手を早めながら、意味深に囁く。
俺は指をしゃぶられて新たな性癖が芽生えるほど気持ち良かったから、同じ快楽を共有したいと思った。
ラストスパートをかけたわけでもなかったし、これで我慢できたらチン○を舐め……ようにも、早漏にはちょっと無理な話だった。
亀頭をイジるまでもなく、何回かシコっただけで高く啼いた雷の腹は、エロくまみれた。
それを俺は、大会公式ルールに則ってヘソ周りに塗り広げる。
「…気持ち良かった?」
「ふぁ……ッ♡ はぅ……ぅぅ……っ」
「三日ぶりの射精の感想は?」
「……気持ち、よかった……♡」
「そっかそっか」
「迅がイケボで迫ってくるからー!! あんなのひとたまりもねぇよ! ゾワゾワ〜ってなんの! 迅テクニシャンだし!」
「でもこれは雷としかした事ねぇからな。 他人のチン◯なんかいくら積まれても触りたくもねぇ」
「お、俺のも他人のチン◯だぞ!?」
「雷にゃんは他人じゃねぇじゃん」
「んんッ?」
「俺の恋人、だろ」
「はぅぅッッ♡ このぉーーッ! 不意打ちでキュン死させるとか卑怯だぞ、迅! しゅきッ!」
「……はいはい」
俺も〝しゅき〟だよ。
腹に精液がベッタリ付いた体で抱き付かれても、それさえ興奮する俺はもはや変態の域に達する。
指フェラしてくれた中指を舐めて、その指で雷の唇をなぞると間接キスだって乙女思考爆発してんのは、誰のせいなんだよ。
しがみついて離れねぇ雷の後頭部を、優しく撫でてやる。
俺達は同じ匂いだって、当たり前の事を嬉しそうにのたまったクソ可愛い飼い猫は今、自分が放った精液を腹に塗りたくられてニヤニヤしている。
自分のだったら触るのも勘弁願いたいそれを、雷のだったらいくらでも俺の体に擦りつけていいと思いながら、エロい鎖骨を甘噛みした。
ん、と啼かれて、また煽られる。
セックスの手順なんか忘れた。
俺の性欲よりも雷の快楽を重視したい。
ただ、俺の中に理性ってもんがあるんだとしたら、まだそれは通常運転中。
ベッドの上に転がったままのローションに目がいき、今まで直視を避けてきた雷のアナルを目の当たりにした時を考えた。
……ぶっちゃけどうなるか、自分でも分かんねぇ。
「……雷にゃん」
「な、なんだよ?」
「今日は指一本って決めてんだ。 雷にゃんに負担かけたくねぇから、少しずつやっていきてぇんだ、俺は」
「おう! それさっきも聞いたぞ!」
「だから、……」
「……だから??」
雷と居たいと思ったのはセックスが目的じゃねぇから、それを分かってもらいたくて。
俺達が繋がる場所はそこしかねぇから、どうしたって雷にばっか負担かけちまう。 それもちゃんと理解してる、優しい彼氏アピールしたくて。
続けようとした言葉があんまりにもみっともなかった。
伝説なんか何の役にも立たねぇと思い知った俺は、雷のツラを見ねぇように、細い首筋に顔を埋めて吐露した。
「指どころか俺のチン◯挿れようとしたら、全力で止めてくれ。 俺、雷にゃんの処女は大事にしてぇんだよ」
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