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⑮勝負 ─迅─⑥※
… … …
「ンッ♡ ……はぅッ♡ ダメだ……ッてば、迅……ッ♡ あんま擦ったら……ッ! また出る、からぁ……ッ」
寝て起きて、気付いたら雷を襲っていた。
俺に背中を向けて寝てたんで、無意識に乳首やらヘソやらを弄ってると、いつの間にか〝迅様〟が太ももの間に挿し込まれてたから腰を振るしかねぇじゃん。
据膳食わぬは男の恥。朝勃ちに気付く前から気持ち良く目覚めた俺は、寝ぼけた雷を啼かせて有頂天だ。
まだ外は薄暗い。
俺……いつから腰振ってたんだろ。
「ふぁ……ッ♡ 迅〜〜ッ」
「いいじゃん。イくな、なんて言ってねぇよ」
「で、でも……ひぁッ♡ 俺、……ッ、もう二回も……ぅぅンッ♡」
「健康な証拠。雷にゃんはえらいなぁ、いっぱい出して。昨日と今日で何回イった?」
「へ……ッ? おれ、……ンッ♡ えらい、……ッ? いっぱい出すの、えらい……ッ?」
起き抜けで輪をかけてチョロそうな雷をうつ伏せに寝かせて、腰を持ち上げる。太ももをピッタリ閉じさせると、俺は獣みてぇに雷に乗った。
素股は雷が初めてだが、こんだけ回数重ねるとうまくなるもんだな。
間違えてアナルに挿れちまったら大変だ……なんて心配はしなくなった。会陰を竿で擦るのも上達し、俺も雷も挿入にこだわらねぇ快感を得る事が出来ている。
しかし雷がすでに二回もイってたとは知らなかった。どうりで滑りがいいはずだ。
「あぁ、もう花丸やりたいくらいだ」
「えぇ……ッ! 花丸とか、もらったこと……ひぃンッ♡ ないッ! うれしい……ッ♡」
「そうか、嬉しいか。雷にゃんが嬉しいと、俺も嬉しい」
「や、ぁあ……ッ♡ 二人とも、うれしい……ッ♡ いいこと、……ッ、だな!」
「そうだな」
チョロ可愛いかよ。
なんだよ。二人とも嬉しいのはいいこと、だと? この状況でそういう事言う?
雷のキュンキュンがうつって俺も恥ずかしくなってくる。これが所謂キュン死ってやつ?
天然でそれはヤバイって。あざと過ぎんだろ。
朝から痺れる可愛さにやられ、太ももの付け根を攻めまくってる俺のチン○がギチッと張り詰めた気がした。
……腰が止まんねぇ。
「あッ♡ あッ♡ 迅……ッ、ヤバッ……! イく……ッ、イく……ッ!」
「……っ、……俺も」
「あぁ……ッ♡ イケボ……! うッ……にゃッ♡ あッ……迅んん──ッッ♡」
雷の俺を呼ぶ声に、背中がゾクゾクした。
震える腰を鷲掴んで、雷より少し遅れてイった俺は、二人分の精液がタオルの上で混ざり合ったのを見てまた興奮した。
下半身がバグったかと思うほど、強烈な射精感。
フニャッと全身の力が抜けた雷の体を抱き起こして、膝に乗せる。くたりと俺に体重を預けてくんのが、コイツらしくなく甘えてるみたいでたまんなかった。
「さすがに三回目は少ないな」
「はぅぅ……ッ」
「雷にゃん、今日学校サボっちまうか」
「えッ、サボる!? ダメだ! ダメ!」
晩から朝まで一緒に居るなんて事は、俺達の間じゃ珍しくもなんともねぇのに今日は無性に離れがたかった。
……と思ってんのは俺だけか。
かなり魅力的な提案をしたはずが、雷に全力で拒否られて「は?」と不機嫌に言い返す。
「……そんな優等生だったっけ、雷にゃん」
「だって今日は練習試合すんだろッ? 勝負から逃げるなんて雷にゃんは許しません!!」
「あー……忘れてた」
「なにぃぃッッ? 忘れてただとぉぉッッ?」
うーわ、そうじゃん。
クラスマッチ本番は明日に迫ってて、今日は翼達と練習試合するって事で昨日は帰りが遅くなったんだった。
放課後からの時間が濃厚過ぎて忘れてたが、それはいったい誰のせいだって話だ。
「お前が俺から逃走しやがったせいで、何もかも忘却の彼方だっつーの」
「ぼ、ぼうきゃ……? 難しい言葉使うな!」
「難しくはねぇだろ」
「むぃぃ……ッ」
「鳴くな。可愛いだけだぞ」
「あ、ンッ♡」
俺はもう、怒ってるわけじゃねぇんだ。
雷を喚かせたいわけでもねぇ。
ただ、雷が好きな方のキス一つで照れやがるくらい俺にメロメロなら、二度と逃亡するなって事が言いたいだけ。
… … …
頑としてサボりたくねぇと駄々をこねた雷と俺は、少し歩いてホテルから近いバス停でタクシーを待つ事にした。
まだ七時前だから登校に支障が無え。
薄暗かった空が明るい。朝一番の空気がうまい。
てか俺ら、何時から盛ってたんだか。
「……ところで、雷にゃんはどっち応援すんの?」
俺か、翼(二組)か。
バス停の固いベンチに座って肩を抱くと、雷はあからさまにピクンッと反応した。その雷の喉仏には、俺の所有物の証。
「どっちって……それ聞いちゃいます?」
「まぁ答えは分かってるけど、確認のために」
「そう言われると心臓が飛び出そうです、雷にゃん」
「なんでだよ」
「だって……ッ、だって……ッ」
「ん?」
「わぁぁッ! いきなり顔近付けるな! 今日も迅はイケメンだな、コンチクショー!」
「キスされると思った?」
「思った! それにドキドキドキドキすっからいきなりの顔面攻撃やめてくれ! 俺のカレシがイケメン過ぎて怖え……! ついでにイケボで俺を追い詰めてきやがる……! ぐぬぬぬ……ッ」
望んでない答えを聞かされそうで、ちょっと圧かけるために顔寄せただけだろ。
何をそんなに動揺して……って、コイツ。
「話逸らしてんな?」
「うッ……!」
「雷にゃんのくせに頭使いやがって。俺には通用しねぇけどな。ガチ単細胞で可愛い」
「かわ……ッ」
「で、どっち応援すんの? いや、……誰を応援すんの?」
「うー……ッッ!!」
何もかも分かりやすいのはコイツの長所だが、短所でもある。
さっきより強めに圧をかけてみると、すんなり白状するところも長所であり短所だ。
……胸糞。
「言っても怒んねぇ……?」
「答えが分かった。キレそうだから今すぐラブホに行こう。ラブホだったらローションあるし昨日の復習がてら三本レッスンして、あわよくば亀頭だけでも挿れ……」
「なんでだよーーッッ!! 亀頭言うな!! てかな、だってしょうがねぇじゃん!? 迅は一組、俺は二組なんだから!!」
「ふーん」
「迅〜〜ッ! 分かってくれよー! ぴぇーんッ」
この野郎……それガチで言ってんだよな?
ついさっきまで俺の下であんあん言ってよがってたのに、まさかメロメロな彼氏を応援しない気か?
こうなったら、意地でも俺を応援させてやろうじゃん。
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