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20ついにオトナになりました!? ─雷─④※

 さすがに風呂場はカンベンだぞッ!  ワケ分かんねぇまま初体験を終えちまうなんて、いくらなんでもイレギュラー過ぎる!  俺はベッドでトロ甘初体験がしてぇんだ!  初っ端でアブノーマルな道に引きずり込むのはやめてくれ! てかいっそアブノーマルヤリチンってあだ名に改名しろ! 「──誰がアブノーマルヤリチンだ」 「ごめんってぇぇッ!」  俺の心の叫びは、全部まるっとバッチリ声に出ちまっていた。  だがその甲斐あって、お手本みたいな苦笑いを浮かべつつ迅は指クチュクチュをやめてくれた。  「お前なぁ……」ってため息つかれて、ほっぺたつねられはしたけど。 「しっかり捕まってろよ」 「……ひゃいッ」  ねちっこいキスのせいで足に力が入んなくなってたけど、迅に抱っこされた俺は無事風呂場から脱出することに成功した。  全身をくまなく拭いてくれたあと、迅は俺をふかふかベッドに優しく置いて、ちょんと肩を押してきた。  傾いた体が、スローモーションみたいにゆっくりゆっくりベッドに倒れてく。 「…………っ」  心臓がうるさかった。  迅から見つめられると、全然目がそらせなくて恥ずかしかった。  そんなに見つめてくれるなって、迅の名前を呼ぼうにも、喉がカサカサでうまく声が出せなかった。  ついにこの時がきた……!  その考えばっかりが頭ン中をグルグルしてて、迅に見つめられてるだけで恥ずか死んだ。  なんでそんなに見るんだよ。  いや見てもいいんだけど、何か言えよ。  イケメンに無言で凝視されっと、喉はガサガサ、体はカチコチになるんだが……ッ! 「トロ甘初体験をご希望で?」 「うッ……」  うっかり自分の彼ピッピに見惚れてると、突然ニヒルなツラした迅執事が登場した。  俺に覆い被さりながら濡れた髪を撫でる迅は、スーツ着てかしこまんなくてもそりゃあもうため息もんのハイレベルイケメンだ。  けどな、小せぇ心臓を過去最高にバクバクさせてる俺に向かって、そんな台詞を極甘セクシーイケボで言っちゃダメ。しかも全裸だし。 「あぅッ……あぅッ……!」  ……ほら見ろ。  喉がガサガサなんもんだから、見るに耐えない情けねぇ鳴き声しか上げらんねぇ。  でも俺は、執事が言ったそれを強くご希望してる。何ならそれしか望んでねぇくらい。  アブノーマルヤリチンが去って甘々彼ピッピが戻って来てくれるなら、絶対絶対絶対その方がいい。  俺は、迷ったあげくモジモジしながら頷いた。 「かしこまりー」 「ひぁッ♡」  軽い返事だな、おいッ! とツッコミを入れようとした俺は、まともな言語を発する間もなく乗っかってきた迅から首筋を舐められて、思いっきり鳴いた。  さっきまで俺の口ン中を支配してたベロが、いやらしい動きで耳たぶに迫る。  吐息が近い。今度はピアスごと耳を食べられる……!  てかヤバい……そこはマズいぞ……ッ! 俺は耳が激弱なんだ……! って、これは迅が発掘した俺の弱点なんだった。  十七年間知らなかった俺の性感帯は、ぜんぶ迅が発掘者だ。  おまけに首をジュッと吸い付かれた、これも。 「ふぁ……ッ♡ ンッ♡」  〝タトゥー〟改め〝キスマーク〟だって、さすがの俺ももう知ってるぜ。  これはなんと、別名〝恋人の証〟……なんだよな?  サラサラになった肌同士がくっついてるだけでドキドキもんなのに、迅は俺の体にいっぱいキスして、恋人の証をつけた。  耳たぶはそこそこだった。ちょっとホッとした。 「ぁ……ッ♡」  恥ずかしいけど嬉しい……!  キスマークに喜ぶなんてガキっぽいのかもしんねぇけど、チクッチクッと小せぇ痛みが走る度に頭ン中がピンク色に染まってくんだ。  さっそく甘いじゃねぇか……ッ! 「迅……ッ、迅んー……!」  ジッとしてらんなくて迅の髪に触ると、それまで避けてた乳首をしつこく責め始めた。  ヤバッ……きもちぃ……!  びくんッと体がはねる。  一番最初に迅から開発された乳首は、今やペロッと舐められるだけでふわふわ浮いてしまいそうなくらい感じるようになってしまった。  迅のベロは熱くてやらしい。意外にも柔らかい唇に、とろけそうだ。 「はぅ……ッ♡ ンッ♡」  俺、勝手に体がピクピクしてるだけなんだけど。  乳首をかぷっと甘噛みされた時、内腿にギンギンな迅様が触れてドキマギした。 「あ……ッ、迅……! 迅ッ! あぅッ♡ ちくびチューチューすんの、やめ……ッ」 「なんで。俺のなんだから好きにさせろ」 「いや、そのちくびは俺の! 俺の……ッ!」 「いやいや、これは俺のだから」 「あッ……あぁ……ッ♡」  脳内ピンク化が止まんねぇから、いったん落ち着けって言っても聞きゃしねぇ。  こんなに何分も乳首ばっか責められるとは思わなかった。  従順で礼儀正しそうな迅執事は、いったいどこ行ったんだ。  デカい手のひらで腰をガシッと捕らわれた俺は、身をよじることも出来ねぇのに。  ムズムズすっからやめろって、うるうるおめめでお願いしてもダメかな。乳首だけでイけるようになるって、あれはマジの説かもしんねぇなんて初体験で知ることになるとは……ッ! 「ひぁぅッ♡ ンッ……んぁッ♡」 「可愛いな。やめろっつーわりに、気持ちいー声出してんの」 「……ッるせ……ッ! やッ♡ やンッ♡」 「これでチン○も触ったら、どうなると思う? 試してみるか?」 「ど、どうなるって……!? こ、こここ怖えから試さないッ!」 「ンなのもったいねぇじゃん。今日オトナになるんだろ? ビビってたんじゃいつまでたってもオトナになれねぇぞ?」 「ぐぬ……ッ!」  そう言われちゃ返す言葉がねぇよ!  そうだ……俺は今日オトナになるんだった。  ニヤッと笑った迅が、少しだけ体を起こした。  俺の左の乳首を舐めながら、迅の左手が動く。  乳首とチン○一緒に触られたらどうなるか、なんて、これは初めてなわけじゃねぇんだから……!  そんなビビることじゃねぇだろ、俺……!  この状況で、本領発揮した迅のテクニシャンぶりを甘く見てた俺は、ガチのバカもんだった。 「たまんねぇだろ、雷にゃん」  イケボはいつどの場面でもイケボ。  ただ今は、キュンッと心臓を鳴らしてときめいてる場合じゃなかった。  やわらかい唇の甘噛みじゃなく、歯先で乳首をカリッと噛まれたのと同時に、温かい手のひらが俺のチン○を包み込んだ。 「ひッ……あぁッッ……迅──!」  その瞬間、ビクビクッと腰がうねった。  背中からチン○の方に何かが走り抜けて、膝立ちした足先が攣るかと思った。 「な? 試して良かったろ?」 「……はぁ、ッ……はぁ……ッ」  触られただけなのに、……。  俺、乳首かじられてイっちまった……。  迅はイケボでクスクス笑いながら、ドピュッと出た精液を俺のチン○に塗りたくってる。  「な?」じゃねぇよ。  かじるならかじるって言えよ。  ほんとに食べられたかと思ったじゃん……!

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