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20ついにオトナになりました!? ─雷─⑥

 腹からおっぱいの辺りに、ピュピュッと二発目が散った。  最初より量は少なめ、でも勢いがすごくて乳首にちょこっとかかった。それだけのことで「ンッ♡」と感じたのは、完全なる無意識ってやつだ。  イった瞬間、さっきと同じくナカの指を締め上げちまったから、幸いにも迅はおとなしくしてくれている。  ただ気になんのは、〝俺の名前呼ぶなよ〟とマジトーンで言われたこと。  目の前がチカチカしてて、ピンク色だった頭ン中が真っ白になった俺には、そのとき迅がどんなツラしてたのかは分かんねぇ。  俺の何かが間違ってたのか。いやそもそも、今日は挿入がメインなのに俺ばっか気持ちよくなってどうする。  迅は一時間近く、迅様従えて〝待て〟状態なんだぞ。  だから、「手早くいこう」って言ってたんじゃん。俺には挿れる側の気持ちもヤリチンの手順も分かんねえけどさ。  男たるもの、目の前に穴があったらそりゃあ早く入りてぇよな。  ごめんな、迅……。俺が童貞処女なばっかりに、ワンコよろしく我慢させちまって……。 「はぅ……ふぅ……ッ、うぅ……ッ」  でも待ってくれ。  続けざまの射精はめちゃめちゃ体力消耗すんだ。  蛙みたいに開いた足は、だらんとベッドに沈んでる。握力がゼロになった手のひらは開いたまんま、シーツにストンと落ちた。  だらしなく開いた口から漏れるのは、呼吸を整えようとしてる息づかいだけ。  喋ることも、迅に腕を伸ばすことも、できなかった。  迅はそんな俺を見てカワイソウだと思ったのか、ふわっと頭を撫でてくれた。 「間隔空いてねぇからしんどいだろ」 「……ん、……しんど……ッ」  おぉ……! 分かってくれて嬉しいぜ。  瞼が重くて開ねぇし、意識保ってるのもヤバそうな俺を迅が心配してくれた。  ヤリチンのくせに、俺を大事にしてぇからって理由でなかなか挿入してこなかった迅は、史上まれに見る我慢強い伝説保持者だ。  理解ある彼ピッピ……。  イケボでイケメンで、こっぱずかしいくらい俺にメロメロで、たまに意地悪でツンデレな男だが俺にとってはガチで白馬の王子様だぜ。  俺も不意打ちの頭ナデナデにキュンキュンして浸りたい……とこだけど、お尻に指入ったままだぞ。 「二回連チャンは……マジでしんどいっす……」 「……だろうな。今日はやめとく?」 「ンへッ!?」 「なんつー声出してんの」  迅のまさかの発言に、俺はカッと目を見開いた。思いがけず近くに迅のツラがあってポッとなったが、「やめとく?」は聞き捨てならねぇ!  しんどいからいっぺん指抜いてくんねぇかなー、ちょっくら休憩して第二ラウンドでもいいじゃん? って、そういう期待を込めてぼやいてみたのが逆の効果を発揮するとは……ッ! 「や、やめとくって……!?」 「初体験。しんどいならやめとくかって言ってんの」 「はぁッッ!? 何を今さらッ……ンンッ♡」  バカ言うな! 迅は果てしなく〝待て〟状態なのかもしんねぇけど、俺もプラグさんとサヨナラしてからずっとおあずけ食らわされてんだ!  何十分もナカをグチュグチュして、あげくの果てには乳首かじってイかせといて、今さら指を引き抜くとはどういう了見だ!  指を抜かれて喘いだ俺が言えたことじゃねぇが、もっとがっつけよ!  ヤリチンの名が廃るぞ! 「ぐぬぬぬぬ……ッッ!!」 「フッ……。ンな唇尖らせて不満訴えてこなくていいから。雷にゃん、今から最終確認する。よく考えて答えろよ」 「なんだよッ! あらたまって!」  指についたローションのぬるぬるをタオルで拭きながら、マジトーン継続中の迅が俺の左側に座った。  この期に及んで会議するとか聞いてねぇ。  二回イッて消耗した体力なら、この時間で完全復活しそうな気配だから〝やめとく〟のは断固反対だ。  と言いつつ体を起こせねぇ俺は、またまた紳士な王子様を目指そうとしてる迅を流し目で睨んだ。 「何なんだよッ! 俺は今日がいいって言っただろ! オトナにしてくれるって言ったじゃん! さっき、迅執事が「お望みのままに」とも言ってたぞ! あれはウソだったってのか!? 俺はこんなに……ッ、こんなに迅とヤりてぇって……ッ! うぅッ!」 「そう興奮するな」 「興奮してんのは迅様だろッ? どんどん巨大化してったくせにぃ!」  直視出来ねぇくらい迅様をパワフルに育てといて、何でそんな冷静でいられんだよ!  取り乱した俺に覆い被さって、ギュッと抱きしめきた迅の本心はどうなんだ。  迅はずっと、ずーっと、ずーーっと、俺のことばっかじゃん。  バカな俺を理解してくれてんのも、常日頃から大事にしてくれてんのも、過剰なくらい好きでいてくれんのも嬉しいけど、だとしたら俺だって迅の気持ちを優先したいと思ったっていいだろッ?  それってそんなおかしいこと? 土壇場でビビッてんのは、やっぱり迅の方なんじゃん? ……とか言うと喧嘩になりそうだから、ひとまずお口チャックしとこう。  ベッドに両手をついて俺を囲った迅が、ジーっと見つめてきてる。  これは、マジの目だ。 「……今日ヤッたとして、あとから後悔したりしねぇ?」 「なッ!? なッ……!? ンなのするわけねぇだろ!! 俺の覚悟をあなどるなかれ!」 「はぁ……。ちゃんと考えてから返事しろ、バカ雷にゃん」 「にゃにぃッ!? あのなぁ、バカバカ言う方がバカなんですぅ!! 残念でしたぁ!」 「……ふざけてねぇでマジに考えろ。いいか、今から俺のコレを、雷にゃんのココに、挿れるんだ。太ももエッチとは違えんだぞ」 「わ、わわわ分かってるよッ! どんと来いって言っただろッ! 俺をオトナに……いや、もうこの際だからぶっちゃけて言う! 俺をちゃんと迅のカノジョにしてくれ!」  あまりにも分からんちんな彼ピッピにキレた俺は、ついに本心を暴露った。  滅多にお目にかかれないポカン顔をされたけど、これこそが俺のホントの気持ちなんだから……しょうがねぇじゃん。

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