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終・迅雷上等! ─迅─④

「ンッ♡ んむッ♡ ンッ〜〜! しつこいッ! しつこいッたら!!」 「ねちっこい方じゃねぇんだから我慢しろよ」  催促したのはお前だろ。なんでキレてんだ。  俺もしたかったから、存分に小せえ唇を堪能してたっつーのに。 「これもある意味ねちっこいぞ!? そんなチュッチュチュッチュして! 唇がタラコになったらどうしてくれんだッ!」 「美味そうじゃん。そん時は責任持って食ってやるよ」 「俺の唇食うなぁぁッッ!!」  しれっと「まだ食ってねぇじゃん」と言い返すと、猫目が俺を睨んだ。  真っ裸でニャーニャー喚きやがって。  お忘れかもしんねぇが、迅様まだ萎えてねぇんだからな? あんま煽ると申告ナシの二回戦ヤっちまうぞ?  顎クイ決めて、もう一回タラコ予備軍の唇を味わう。  ……美味えじゃん。持ち歩きてぇから唇着脱可能にしろって言ったら怒るかな。 「んむッ……♡」 「ンな可愛いツラして。俺をノせるのがうまいな、雷にゃん?」 「何にノるんだよッ! 俺はもうヘトヘトだ! もっとギューしてくんねぇと回復しねぇ!」 「フッ……キスはもういいのか」 「結・構・ですッ!」  クソ……もうおあずけか。しつこくし過ぎたな。  ま、ギューしろって可愛いおねだりされた事だし、ムスコには悪いが恋人のメンタルケアを優先しよう。  ご機嫌ナナメな雷を宥めんのは案外好きだからな。 「雷にゃーん。ネガキャン終わった?」 「……おかげさまで」 「フッ……良かった」  膝に乗せて頭をヨシヨシ撫でてやると、爪を立てた威嚇モードだった雷が落ち着きを取り戻した。  俺の体に寄りかかって好きなだけ撫でさせてくれる単純ネコは、猫だったらマジで喉をゴロゴロ鳴らしてる。  濡れたアナルはそのままで、ちんまり俺の膝に収まる雷は相変わらずたまんなかった。  可愛い。可愛い。……可愛い。  このミニマムサイズと懐き方。  俺に敵意剥き出しだった頃がウソみたいだ。  ちょっといいラブホで、この時期に真っ裸で抱き合ってるだけでシアワセなんだもんな。  一生独身貫こうとしてたのはどこのどいつだって話。  他人に気を使うとかクソめんどくせぇと思ってた俺が、地球上で一番手がかかるかもしんねぇ恋人をゲットした。  あげく、俺の方がコイツにメロメロって。  脳内でこんなサムイ事考えてる時点で、雷に敵うわけねぇんだ。無敗の俺でも。 「……なぁ、迅」 「ん?」  この状況で不意打ちの上目遣いは、悪だ。  半勃ちのチン○が反応しかけたが、人差し指で俺の乳首にイタズラする雷を「コラ」と窘めつつ、知らん顔して続きを待つ。 「これだけは聞かせてほしいんだけど」 「何?」 「うッ……♡ イケメン……!」 「なんだよ。早く言え」  俺のツラが上の上だからって、そろそろ慣れてくれよ。  ジッと見つめ返しただけでポッとほっぺたピンクにされっと、押し倒したくなっから。マジで不意打ちの〝可愛い〟はやめてほしい。 「あーっと……迅は、マジで、気持ち良かったのかなって。どうだった? 俺で気持ちよくなった?」 「あぁ、気持ち良かった」 「えぇッ!? それガチで言ってる!?」 「は?」 「いやだって、俺さっき言ったじゃん! 大事な大事な初エッチが、ワケ分かんねぇうちに終わったんだよ! 迅の感想聞きてぇけどお世辞は聞きたくねぇんだ!」 「お世辞だぁ〜?」  ピキピキピキピキ……ッ。  コイツ、俺の触れられたくねぇとこ抉りやがって……。  鈍感にも程があんだろッ。 「何なんだよ! この俺様が早漏だったのが何よりの証拠だろうが! 言わせんな!」 「ヒッ……!」  俺の剣幕に、腕の中の雷がビクッと揺れた。  誤変換を正したと思ったら、次は無邪気さ炸裂させんのかよ。  気持ちよかった、それでいいじゃねぇか。  前戯の方が長かったなんて、俺にとっちゃ衝撃的な事件なんだっつの。  声もデカくなんだろ。 「なッ……なッ……!? ンな怒んなくたっていいじゃん!! 俺は大蛇な〝迅様〟に苦しめられて終わったけど、今日のエッチはなぁ、迅が気持ちよくなきゃ意味無かったんだ!!」 「だから気持ちよかったって言ってんだろ」 「そう見えねぇんだもんーーッッ!!」 「だったら今すぐリベンジさせろ」 「ヒッ!? あッ、えッ!?」  聞き捨てなんなかった。  今コイツ、どさくさに紛れてハッキリ言ったよな。「苦しめられて終わった」って。  初体験をそんなので終わらせられっか。 「ギューしたら回復すんだよな? あとどれくらい抱っこしてたら二回戦していーの?」 「誰がンなこと言ったんだ!」  どんだけ騒がれようと、ミニマムな雷を押し倒すのは簡単だ。  スローモーションみてぇに寝転ぶ雷に覆い被さったら、現金なチン○がすぐに期待をぶり返す。  ヘトヘトだって掠れた声で鳴いてた雷は、俺の愛情たっぷりなキスハグで見たところ回復してそうだし?  俺は雪辱を晴らしてぇし?  可愛い可愛い恋人の初体験に、苦しいだけの思い出なんか作ってほしくねぇし?  ……ほらな。二回戦に向けての理由付けならいくらでも出来る。 「おい迅! 俺の桃尻はもうムリって言っ……!」 「そんなんで音を上げるような桃尻じゃねぇだろ? てかまだまだレッスンは続けねぇと」 「ヘッ!? レッスン……ッ? まだ必要ッ? だっても迅様は……ッ」 「雷にゃん。俺とだから頑張れるだろ?」 「ニャッ……♡」  逃げ腰な雷を落とすのは、俺の声だけで充分だった。  輪っかのピアスごと耳たぶを食んで、熱っぽく囁いてやれば見事にその気になってくれる。  クリスマスデートでこの場所を選んだのは?  俺を生意気にも挑発してきたのは?  どっちもお前だろ、雷。 「雷にゃんも、俺のチン○で感じるようになってほしい。痛くはしねぇ。気持ちいいコトだけしよ」 「……ッッ♡ うんッ♡ 気持ちいいコトするッ♡ 」  あーあ。……ったく。  俺の恋人は世の中の誰よりもチョロくて可愛い。

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