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十五話(鈴視点)

 そうやってめーちゃんと2人、あーでもない、こうでもないと求人募集のページを見ていれば 「あ!いたいた、やほやほりんりん、めいめいー!」  何て言葉が聞こえてきてそちらへ視線をやる。 「おう、羽月」 「はづくんどしたの~?」  視線を向けた先にいたのは、はづくんで、少し息を切らして手を振りながら俺達の所へやってくる。 「いやさ、りんりんに用があって」 「LINEしてくれたらそっちまで行ったのに」 「あーその手があったか」 「羽月って時々抜けとるよな」 「えーめいめいには言われたくない」 「何やと」 「はははー、と、まぁそんな事より」 「そんな事とはなんやそんな事とは、おい羽月―!」  めーちゃんからの言葉を完全に無視しながらはづくんが俺の方へ向き直る。  俺としては、後ろで騒いでいるめーちゃんの事が気になって仕方がないのだけれど、はづくんにめーちゃんに構う意思が無さそうなので、仕方なく俺も極力ぷんすこ怒っているめーちゃんを視界にいれないようはづくんに視線をやり、言葉の続きを待つ。 「りんりんさ、昨日バイト探してる~って言ってたじゃん?まだ探してたりする?」 「うん、今まさにめーちゃんとそのバイトの事話してた~」 「おぉ、じゃあちょうど良いね!実は俺の叔母さんがバイトしてくれてる子を探してるんだけどりんりんやってみない?」 「やる!」 「本当に?!良かったー言ってみるもんだね」 「りんちゃん即決かよ、もっと何か色々聞かなあかんのちゃうのん」 「いやー、はづくんの親戚さんのお店って確か前話してくれたお洒落そうなカフェやんね?だったらやりたいなーってあそこの制服カッコいいし、知り合いのお店なら初めてのバイトでも気負わずやれそうやし!」 「そうそう、前写真見せたところ~ほとんど身内経営みたいな感じで、今年娘さん、俺の従妹が受験生でね、バイトやってくれてる子達もみんな従妹ちゃんの友達だからシフトに入れない時期が被りそうで、バイト募集しなきゃ~って叔母さんが困ってたからさー。あ、勿論俺も一緒にバイトするからね」 「そうなんや~、是非是非働かせてください」 「ん、ありがと~。あ!良かったらめいめいもやらない?」 「やらない」 「即答?!」 「まぁもし、もしも人が本当に必要な時にヘルプとしてなら厨房やったら手伝ってもええよ」 「めいめいって料理できるの?」 「カップ麺なら作れる」 「何そのドヤ顔?!そもそもカップ麺は料理の一つにはいらないからね!」 「カップ麺バカにすんなよ、めちゃくちゃ上手いんやぞカップ麺」 「いや、カップ麺が美味しいのは知ってるけど!それは料理じゃないでしょ……」 「何言うとんねん、カップ麺もお湯の注ぎ加減とか色々コツがあんねんからな」 「じゃあ叔母さんにも伝えとくから明日の放課後時間作れる?」 「ちょっ、無視すんなや、羽月!」 「了解~。」  再び騒ぎ出しためーちゃんの事を無視して、はづくんはスタスタと歩いて行ってしまった。 「なぁ、あいつ最近俺の扱い雑すぎんか?」 「えー気のせい気のせい」  まだ不満そうにするめーちゃんに、まぁまぁだなんて言いながらも俺はようやく始められそうなアルバイトに期待で胸がいっぱいになった。

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