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第5話

気が付くと、身体は綺麗にされてベッドに寝かされていた。 隣のベッドを見るとアキラの姿が無い。 俺達の部屋には廊下へ行くドアの他に、隣の部屋へと行くドアがある。 そこは、赤司様に抱かれる為の部屋。 恐る恐るそのドアを開けると、赤司様に抱かれているアキラが居た。 「早く自由になりたいなら、光輝をお前のように俺を受け入れるだけの器に育てろ」 そう言われて、ガンガンと腰を打ち付けられていた。 そして長い髪を掴んでアキラの顔を上げさせると 「孤児院のお前を、ここまで育ててやった俺を裏切るなよ!」 そう言いながら、アキラを犯していた凶器を引き抜きアキラの顔にぶちまけた。 されるがままの無抵抗なアキラの綺麗な顔が汚されるのを見て、腸が煮えくり返りそうなった。すると赤司様はアキラの髪の毛を離すと 「いつ抱いてもつまらない男だ」 そう言ってアキラの顎を足で上げると 「お前がNO.1で居られるのは、お前のパトロンの寄付がデカいからだって言うのを忘れるなよ」 そう言って、赤司様が部屋から出て行った。 息を潜め、赤司様が他の部屋に入る音を聞いてアキラに走り寄った。 汚されたアキラの顔を、部屋にあるタオルで優しく拭う。 すると音も無くドアが開き、眼帯の男が入って来た。 そして泣きながらアキラの顔を拭う俺の頭を撫でると 「安心しろ。今夜はこれで終わりだ。お前は部屋で寝てろ」 と言うと、アキラの身体を大切そうに抱き上げた。 「あぁ…、幸雅か…」 気を失っていたらしく、アキラが抱き上げた眼帯の男に優しく声を掛けた。 「悪いな……。又、世話を掛けて……」 そう言うと、甘えたように眼帯の男の胸に顔を埋めた。 その様子を見て、2人が恋人なんだと悟った。 残された部屋で、自分が赤司様を満足させないとアキラに被害が行くのだと悟った。 弟のようだと言って可愛がってくれるアキラに、迷惑を掛けたく無かった。 中々戻らないアキラを心配して待っていると、いつの間にかうとうとしてしまっていたらしい。 部屋のドアが開く音がして、慌てて起きるとアキラが驚いた顔で俺を見た。 「まさか……待っていたのか?」 そう言われて、俺が鼻の頭をかきながら 「俺のせいで……だから……」 と呟くと、アキラは俺を抱き締めて 「馬鹿だな……、光輝のせいじゃないのに……」 そう言って微笑んだ。 この日以来、俺はアキラにありとあらゆる事を教わった。 二度とアキラをあんな目に遭わせないように。 他の兄弟達からアキラが俺を守ってくれるなら、俺はせめて赤司様からアキラを守る事を考えた。 どうしたらご機嫌で赤司様が終わらせて帰ってくれるのか? そして俺は、ゆっくりと確実に赤司様の気持ちを掴んで行った。 アキラをお払い箱にされないように 「赤司様。アキラは俺の恩人で、本当の兄貴みたいなんだ。だから、俺から絶対に引き離さないでね」 って、お願いした。 愛しても居ないのに 「赤司様、愛してます」 って、毎朝、お見送りのキスを欠かさなくした。 赤司様はご機嫌で 「アキラに任せて良かった」 と言っては俺を抱く。 逃げられないなら、せめて自分と自分を大切にしてくれる人を護ろうと思った。

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