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第35話

「光輝…、挿入れるぞ」 そう囁かれ、ゆっくりと戸張が挿入って来る。 「あっ……」 圧迫感に仰け反る俺の手を、戸張が優しく握り締めた。 「辛いか?」 労るように聞かれ、俺は苦しくなる。 『光輝……、辛くないか?』 労るように俺の身体を抱いていた、愛しい人を思い出す。 (止めろ!そんな風に抱かないでくれ……) 最奥を穿たれ 「あぁ!」 と弓なりになる俺の身体を抱き締め、戸張が唇を重ねる。 「光輝……、愛してる……」 囁きながら、ゆっくりと腰を動かす戸張の背中に爪を立てる。 赤司のように、ただ欲望を叩き付けられる方がマシだ。 最初に出会った時のように、ただ乱暴に抱かれる方がお前を憎めるのに……。 縋るように俺を抱くな……。 虚勢を張ったお前の内側を、俺のような奴に見せるな……。 突き上げられる刺激に、俺は戸張の身体にしがみつく。 「光輝……、光輝……」 溺れた子供のように、必死に俺に愛情を求める戸張に、こいつもあの事件の被害者なんだろうと感じた。 「あっ……、快ぃっ……」 突き上げらながら喘ぐ俺の唇を、戸張の唇が塞ぐ。 俺は抱かれながら (すまない……。全てが終わったら、お前の手で俺を殺してくれて構わない…) そう思いながら、戸張の迸りを身体に受け止めた。

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