34 / 39
第35話
「光輝…、挿入れるぞ」
そう囁かれ、ゆっくりと戸張が挿入って来る。
「あっ……」
圧迫感に仰け反る俺の手を、戸張が優しく握り締めた。
「辛いか?」
労るように聞かれ、俺は苦しくなる。
『光輝……、辛くないか?』
労るように俺の身体を抱いていた、愛しい人を思い出す。
(止めろ!そんな風に抱かないでくれ……)
最奥を穿たれ
「あぁ!」
と弓なりになる俺の身体を抱き締め、戸張が唇を重ねる。
「光輝……、愛してる……」
囁きながら、ゆっくりと腰を動かす戸張の背中に爪を立てる。
赤司のように、ただ欲望を叩き付けられる方がマシだ。
最初に出会った時のように、ただ乱暴に抱かれる方がお前を憎めるのに……。
縋るように俺を抱くな……。
虚勢を張ったお前の内側を、俺のような奴に見せるな……。
突き上げられる刺激に、俺は戸張の身体にしがみつく。
「光輝……、光輝……」
溺れた子供のように、必死に俺に愛情を求める戸張に、こいつもあの事件の被害者なんだろうと感じた。
「あっ……、快ぃっ……」
突き上げらながら喘ぐ俺の唇を、戸張の唇が塞ぐ。
俺は抱かれながら
(すまない……。全てが終わったら、お前の手で俺を殺してくれて構わない…)
そう思いながら、戸張の迸りを身体に受け止めた。
ともだちにシェアしよう!