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プロローグ

「・・・婚約ですか?ッでも、私には恋人が」 「男同士では結婚が出来無い、子供も産まれないと何度も言ったであろう」 「ですがッ!私は彼以外愛せません!」 威圧感溢れる目の前の男ー父親ーに反論するも聞き入れてはもらえない。もうこの話は終わりだとばかりに私を一睨みして部屋から出て行った。 高校時代からの恋人は同性。別にゲイというわけではなかった私が初めてここまで愛した人だった。 何度も何度も家族を説得し認められつつあった恋人。なのに 「セツ、俺が頑張るから家を出よう」 「でも、」 私が家を捨てることは簡単だ。お世話になった恩はあるも私の下にも兄弟はいる。けど、ユウリは?家族が認めてくれていて、仲もよくて。仕事もあって。それを捨てさせる?私のために? 「俺はセツがいれば幸せだから」 「本当に?ユウリはいいのですか?」 「当たり前だろ」 逃げた。二人で。二人っきりで誰にも見つからないように。 幸せだった。海の見える小さな家はユウリと私の世界全てだった。 ー今は寝てるから。大丈夫気づいてないよ。 ー分かってる。勿論愛してる いつからだろう。気付いたときには私とユウリの間には薄い壁があった。どこかよそよそしくて、帰って来ない日もあった。 私とユウリだけの世界。二人っきりの世界はあの頃から周りに人がたくさんいたユウリには窮屈だったんだろう。私さえいなければ。 だから 【幸せになってね】 家から二人で見る海が好きだった。 今日もユウリは帰ってこない。 たまには思い出してくれるかな? ー愛してるー

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