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いち
突然だが私には前世の記憶がある。というよりもつい先程思い出した。
ここではなく地球の日本で育った記憶だ。
恋人と結婚できなくて駆け落ちして勝手に死ぬというなんとも自分勝手な人生を送ってきた罰だろう。
今の私には何もない。親も家もない。つまり捨て子だ。
今は5歳だ。つい先程親に捨てられてしまった。そのショックで前世を思い出したのはいい事だったのだろうか。5歳の知恵で生き残るより前世は30まで生きてた知識があるのだからその知識でどうにか生きていけないだろうか。
中世ヨーロッパ風の街並み。王政をとっているここアヴェリー国。日本育ちの私には馴染みのない王政だが、底辺の私には対して影響はない筈だ。それより地球と決定的に違うのが男しかいないという現実。この世界男が妊娠し子をなす事が出来る。タチとネコが生まれた時から定められている。
生まれた時には検査をするみたいだが私が住んでいた村では貧困層の村のため検査する機関がここ数年村を訪れていないためどちらか不明な者が多数いた。どうしても知りたいなら大人になって自分で受けろということらしいが、現状ネコである可能性が高い。今の人口の8割ネコというタチ側の圧倒的不足。需要と供給のバランスが崩れまくってる状態である。
おかげでタチ側は一夫多妻制が認められており、というより結婚せずとも一人でも多くと交わり子を作れという種馬状態である。
おかげで、タチ側に生まれれば食うに困らない生活が待っている。
だが、何の因果かタチは貴族の産まれが多いせいでやりたい放題である。私を捨てた親も無理矢理犯された末に出来たのが私で貧困層のネコが育てられるわけもなく捨てられた。私みたいなケースは稀ではあるがないわけではない
面倒見れないなら襲うなよ。需要はたくさんあるのだから。ただ私の親があの村にいるには目立ち過ぎる位綺麗な人だった。そのせいだろう。昔からそういう恐怖に怯え暮らしていたらしい。
5歳の私にはわからなかったが、前世の記憶を思い出した私としては親の気持ちが分からなくもない。子供がいれば逃げるには足手まといだ。
仕方のない事だ。
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