1 / 133

ゆらゆらと……

今日も平和だなあ。 寂れた商店街の一番端っこの写真屋の受付の中、うたた寝している店長を見つめて俺は今日も癒やされている。 恋塚雅美。(コイヅカマサミ) この写真屋の店長で32歳のメンズ。 怒った所をみた事がないくらい温厚で癒し系。 しかも、可愛い。 寝顔が赤ちゃんみたいで可愛すぎる。 うたた寝する店長を見つめるのが最近の楽しみ。 で、俺は柚乃(ユノ)21歳のフリーター。 茶髪にピアス、ショボい写真屋には似合わない見た目チャラい俺。 「柚乃、ニヤニヤしよらんと早うホカ弁買うてこい」 「ひゃっ」 気配もなく突然現れる爺。 ちょっと声出してしまったやんけ! 「ステーキ弁当とワンカップばい。お前とまーの分もな」 爺がシワシワの手で500円をくれた。 …………………………………………、足りねえ。 「じいちゃんお金足りん」 「あん?ワンカップとまーの分とお前の分は自分で出せ」 おっとぉ、命令口調。 この爺は店長のお祖父さんで店の持ち主。 今はご隠居生活。 「まー、いや、店長の分を出すのは良かけどワンカップは………」 と、目線を爺に向けるが既に居なかった。 くそじじい! 店長の寝顔をパシャリと写メるとホカ弁へと向かう。
ロード中
ロード中

ともだちにシェアしよう!