「叶（かなう）くん、こっちきて」 「え、あ、はい、なんですか」 　隣の部屋から、間宮（マミヤ）さんが俺を呼んだ。 　俺はと言えば、吹っ飛んだデータをバックアップから7割程復旧させ、徹夜の睡魔に意識が朦朧とし始めたところだった。 　開きっ放しの、間宮さんの部屋にもそもそ移動する。 　うう、眠くて目が開かない……。 「叶くん、服脱いで」 「え、今ですか」 「うん、今、今すぐだよ、叶くん」 　この珍妙な命令に、俺の頭はガクンとうな垂れる。 「……眠くてしんどいのですが」 「うん、眠くてしんどい叶くんがいいんだ」 　ああ、この人は、いつも通り平常運転で、変態なのだ。 ー叶くん、こっちきてー