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1話-2

 俺はのそのそと、シャツを脱ぎ始める。  正直眠すぎて、指が上手い事動かない。  ああ、〆切は明日の午後だと言うのに。  間に合うんだろうか。  いや、間に合わないな、確実に。 「叶くん、上は脱がなくていいよ」 「え、いいんですか」  と言いつつ、第三ボタンあたりまで外し終わっている。  そういう事は早く言って欲しいものだ。 「上はいいから、ズボンを脱いで、そこに座って」  わざわざ「ズボン」と言ったのだから、パンツは脱がなくてもいいのだろう。  ベルトを外し、ボタンとホックを下ろせば、ズボンは重力に従って足元にくしゃくしゃにまとめられる。 「相変わらず、色気の無い下着を身につけているね」  グレーのボクサーパンツを見て、間宮さんは言った。  しかもこれ、二日間穿きっぱなしなんだ。 「でもその色気の無さが、とても魅力的だ」  間宮さんは、意味のわからない褒め方で俺を褒めた。 ……そもそも、本当に褒められているのか?

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