56 / 151

第55話 悪徳業者

「...わかりましたよ」 恭介はため息と共に吐き捨てるように呟き、 渋々了解する事にした。 変な風に言いふらされても自分は困らないが、 雛瀬硝子に迷惑がかかると厄介であるし。 「よっしゃ!話が早くて助かる」 「ッチ..悪徳業者」 「赤川センパイ」 「...あかがわせんぱい。写真は?」 「後払いになります」 「クソ..」 うまい具合に言いくるめられ恭介は面白くなかったのだが 机に戻ると硝子はまた作業に戻っていた。 縮こまって一生懸命何かを書いている姿が死ぬほど愛らしかったのでよしとすることにした。 二人が戻ってくると硝子は不安げに顔を上げる。 「あ..の....」 「大丈夫!いずみんも手伝ってくれることになったからこれで万事解決」 「え....?」 茶々は硝子の顔の前にピースした手を突き付けた。 戸惑っている様子の彼の隣に恭介はどかっと座った。 「俺は何をすればいいんすか赤川センパイ」 「わぁ可愛い後輩ができて嬉しいねひなっちゃん これで新聞部も安泰だ」 「入るとは言ってない」 「じゃあひなっちゃん書き終わったのいずみんに渡してね いずみんはそれをこのペンでなぞってもらえれば」 茶々に指示を出され恭介は舌打ちする勢いで不機嫌な顔をしたが ぽかんとしている硝子を見ては苦笑した。

ともだちにシェアしよう!