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第5話

 結局、武蔵に頑なに拒否され、初挿入は叶わず渋々始発で家に帰った。  始発の電車の中で、どうにか武蔵とセックスはできないものかと思考を巡らす。 (性格はいいんだよな。結構気が付くし、優しいし。眼鏡外した顔は悪くなかったな。もっと見た目に気を使えばモテるのに)  瞬はふと思った。  きっと、武蔵の見た目が変わればモテるはずだ。 (あいつが童貞捨てて、女とやりまくれるようになれば、男と一回くらいやってもいいと思うかも……)  ならば、自分が武蔵をモテるように変えてやればいい。  瞬の脳内で武蔵改造計画が浮かんだ。  武蔵の外見は会社の顔とも言える営業として、いかがなものかと前々から思っていた。正直、武蔵を取引先に連れて行く事に恥ずかしいと思う時もあった。  営業は身なりも大事だ。見た目の印象で取引先への印象だって変わってくるものだ。  それをそのまま武蔵に伝えた。武蔵は先輩として自分を慕ってくれている。そんな瞬に、恥ずかしい、と言われしまい酷く凹んでいた。そこで、改造計画を提案した。渋る武蔵に、彼女もすぐできるぞ、そうトドメを刺すと武蔵は俄然やる気を出した。お堅く見えた武蔵も所詮、中身は雄だという事だろう。  日曜日、武蔵を全身改造計画を実行した。 待ち合わせに来た武蔵の私服は呆れはしたが、ネクタイのセンスを考えれば予想はできた為、あまり驚きはしなかった。  そして瞬の見立てで今風のファッションを着せ、髪を切らせると想像以上に武蔵は化けた。  元々上背も有りガタイもいい。そしてバッサリと短髪にさせると、ずっと隠れていた目元が露わになった。  武蔵が目を隠していたのは、目付きが悪く昔から良く絡まれたからだと言っていた。  確かに目付きは悪かった。武蔵の目は垂れ目気味だったが切れ長で、視力が悪いせいで確かに目つきが悪くも見える。強面の面構えのせいで絡まれるのも頷けた。だが、それが良い。ワイルドなリーマンの完成だ。  最後は、壊滅的にセンスのないネクタイを封印させるために、百貨店でブランド物のネクタイを買わせた。  こんなにも武蔵の顔面レベルが高いとは。それに気付かずこの歳まで来てしまった事が酷くもったいない。もっと早く気付いていれば、武蔵の人生も変わっていたはずだろう。  瞬と武蔵、二人のイケメンが街を歩けば女性は皆振り返り頬を赤く染め、二人に見惚れた。  見慣れない自分に武蔵は恥ずかしそうにモジモジとしていて、強面の面構えとのギャップに少し笑えてくる。 「すげぇカッコよくなったな。これからは、自慢の後輩として堂々と取引先に連れて行ける」  その言葉が余程嬉しかったのか、武蔵は満面の笑みを浮かべている。  少し胸は痛んだ瞬だったが、 (これならすぐ、脱童貞だな)  そう、ほくそ笑んだ。  武蔵改造計画の目的は仕事の為だと本人には言いくるめたが、本来の目的は武蔵をモテるようにし、脱童貞からのヤリチンに育つ事への期待。そして、自分にあの巨根を突っ込んでもらう事だ。  そんな淡い期待を秘めながら、武蔵がこれからどうなっていくのか、楽しみでならない。

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