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第1話

(ああ、落ち着かない) 自宅にいるのに、他人の声がする。 聞く必要も、その意志もない。 私にとっては全く見知らぬ他人。 そんな彼らと画面越しに話している彼。 これはリモート会議だと頭では理解している。 が、不慣れな身体は、感情を逆撫でする要素を余すことなく拾ってしまう。 (ああ、ダメだ。これ以上堪えられない) 別室へと退避したが、時折に響く音のみになると、私の苛立ちは更に加速した。 変化に弱い自分が嫌だ。 一切コチラを見ない彼なんぞ、見たくない。 此処は私名義の家で、今日は私の休日だ。 (あぁ、もう!いい加減にしろ!!) 一体誰へ向ければ良いのか判らない気持ちを抱えて、私は寝室の床に蹲った。

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