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第1話

デビュー日は七夕。  夜空に輝く彦星をコンセプトとした7人グループ。  デビューできたのはもちろん、この人に好かれたから。  「こんにちは、君がヒカルくん?愛希から聞いたよ。」  爽やかな、目を奪われるほど輝くその人。練習生のトップに君臨する透の視界に入れたことが嬉しかったのを覚えている。 伸ばされた手を取ると、無言のまま儀式が始まる。通り過ぎる練習生が羨んだ顔で見てきたり、値踏みするように見られることにも気を取られる事なく、感じるのは優越感。  (僕が選ばれた)  愛希が選ばれたのが羨ましくて、何度も話を聞いた。すると、愛希が繋いでくれると言った。独り占めではなく、「みんなの透さん」だからだそうだ。  レッスン室の個室。  この狭い場所が透の儀式の場所。 鍵の掛かる音に、心臓の音がうるさい。  幼いと言われる容姿。  目立つのが大嫌いな自分がここにいる理由。  それは、幼なじみの愛希に付き添ったオーディションでみた透。  ヒカルにはこの人しか見えないほど、タイプだった。男性が好きだったわけではない。なのに、目が離せないし、近付きたいとしか思わなかった。この人の近くに行きたい、その一心でオーディションでは隠していた歌唱力を必死にアピールした。  首位で合格してしまったことに萎縮して、練習生になってからは大人しく過ごした。できるだけ目立たないように、愛希が上に立つように、と努めた。 なのに、愛希が選ばれると、感じたことのない嫉妬で苦しかった。なんで、なんで、と鏡を見ては必死に睨みつけた。  (ブサイク)  可愛い愛希とは違い、見た目は普通。取り柄のない、幸薄そうにみえる顔が嫌で、目立ちたくないのに茶髪にしてみた。  母親には怒られたが、愛希は褒めてくれた。そして、僕を紹介してくれたのだ。 そっと壁に背中を押し付けられ、近い顔に目を逸らす。甘い香水の香りが甘美な世界へと誘う。 「ヒカル…今からすることは、分かるね?」  「はい」  「俺に忠誠を誓う?」  「誓います」  ふわりと笑う顔にドキドキして、その目に映るのが自分だけ。  (ずっと、遠くで見ていた人との距離が…)  唇が触れて、かぁっと熱くなる。自分がコントロールできないほど、透が欲しくなる。  (透さんの、舌が、僕のと、触れてる)  ゾクゾク…ッ  「ん?どうした?」  「透さんっ!…ずっと…」  「ダメ。それは言っちゃだめ。俺はみんなの、だから。でもちゃんと愛するよ。安心して委ねて」  気持ちは聞いてもらえなかったけど、全てを早くみて欲しくて、でも、ゆっくりと丸裸にされる。 「綺麗だよ、ヒカル」  ブサイクで、普通の自分を綺麗だと言ってくれた。何も着飾らない、ありのままの自分を。  「全部、俺に捧げて」  「はい」  返事をすると、涙がこぼれた。  好きで、欲しくてたまらない人に、捧げる幸せを感じて、止まらなくなった。  「可愛いよ、ヒカル。大丈夫、怖くないよ。俺はそばにいるから。」  優しい言葉の愛撫は、自己否定型のヒカルには麻薬のようだった。  「ヒカル足を開いて、見せて。…あぁ…やっぱり綺麗だよ。」  恥ずかしいほど熱を持ったものにも、褒めてもらって、どんどん大胆になるのが分かった。  「普段大人しいヒカルが、俺の前だけでこうして自分を出せる。ヒカルの居場所はここだよ」  そっと指が入って、忘れもしない、初めての快感。コントロールなんか全くできなくて、頭で何も考えられないほど、気持ちよくて、イくのも、気持ちよくなるのも、目の前のこの人次第。必死にしがみついて、中の衝動に叫ぶことしかできない。  「ヒカル、気持ちいいよ」  (透さんが、俺で気持ち良くなってくれた)  「んぁっ!?ダメです!ど…っしよぉ!…やだやだ!ッ!こわいっ…!ヘンッ!ヘンッ!」  「はぁ、はぁ、イきそうなの?初めて、だよね?」  「やめて、くださいっ!ヘン…なんですっ!ダメぇ、だめです…っ」  「はぁ、やっぱ、初めては、たまんねぇ」  「っァアァアーー!!いやぁああー!」  「大丈夫、大丈夫。ッはぁ、はぁ、最高、締まり具合ッ!上物だ」  「透さん!ッこわいっ!ッぁああ!ダメダメ!」  理性がまだ残って、必死に衝動に抗う。気持ちよさの波が次々に襲ってくる。凶暴すぎるほどの快感に戸惑い、身を委ねることができない。  「いい、よ、イって!」  「できないですっ!もぉっ!無理です!」  「初めてで、可哀想だけど…」  そう呟いた後、ググッと奥に入ってきた熱に目を見開いて絶叫した。  「ッぁああああああー!!!」  欲を勢いよく放つほどの、強制的な絶頂を味わって放心する。中に注がれた熱にブルリと震えた。  「ヒカル、君は最高だよ。誰よりも1番だ。」  全員に言ってるはずなのに、その言葉に酔いしれるのはなぜだろう。  「みんなの透さん」の、「みんな」の一員になれたことが嬉しくて、この日から愛希と共に透のそばにいることができた。 

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