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第26話

深夜に晴天の家に転がり込んで、ぐっすり眠った。晴天は眠そうに迎えてくれて、部屋に入るとヒカルを抱きしめて気持ち良さそうに眠っている。  (うぅ…幸せだぁ…)  顔の筋肉が緩む。厚い胸板に顔をすりつけて深呼吸をすると、安心感で包まれる。 「ん…ひかる…?」  「はるたさん…あいきが、しあわせに、なったよ」  そう言うと、強く抱きしめられて、背中を撫でられる。  「良かったな…ずっと、気にしていたろ?愛希より、幸せになっちゃいけないって。」  「うん…」  「もう幸せになることに抵抗はねぇな?」  どんな顔をしているか分からないが、とても優しい響きがくすぐったい。ただ、何か覚悟を含んだ声音に、慌てて顔を上げる。  「公表はしないよ!?」  「あったり前だろが!…今は78がずっと1位をとってあの話題から遠ざけてる…。それなのに、また事務所に同じことはさせられないよ」  予期しない、異例の発表だった。 撮られたとはいえ、本当に驚いたし、ユウと、そしてタカの覚悟を感じた。  天才なのに、器用でなんでもこなすのに、恋愛になれば2人とも不器用なほど真っ直ぐで、揺るがなかった。 「恋人持ちばかりだとバレたらファンが辛いだろ」  「そうだね」  「セナと翔がバレそうで怖いけどな」  「大丈夫でしょ。大河とマコだってバレてないんだから。」  ふふっと笑って、大きく呼吸をする。  愛希にも、ヒカルにも、居場所ができた。  やっと見つけた。  もう離さないように、離れないように。  逞しい背中にしっかりと腕を回した。  新生Altairの新曲は、78の連続1位の記録を破った。また、事務所のNo.1に上り詰めた。  『ヒカルの歌が聴きたい』  そんな声が増えて、少し照れ臭かった。  音が完璧なだけと思っていた自分の特技は、ヒカルの知らないところでたくさんの評価がついていく。  『曲によって変わる表現力』  『優しい歌声』  そして、ヒカルが嬉しいのは、  『晴天とのパートが1番好き』  その言葉だった。  やっぱり誰かと一緒に褒められることが好きだ。 翔だけのAltairから、みんなが輝くAltairになった。  そして、  「ヤスさん、おかえりなさい!」  「ただいま、愛希。いい子にしてた?」  「うん!見て?今日はね、キッシュを作ってみたの!」  「わぁ!美味しそう。ありがとう愛希」  「えへへっ!」  愛希は、コツコツと仕事と、ヤスのバイトを続け、今や料理の腕前がすごいことになっている。ヤスの笑顔見たさにひたむきに努力している。そして、毎日が充実しているのか、ヒカルに連絡が来ることは無かった。  テレビ局で会うたびに惚気るヤスに笑いながら頷くのが楽しみだった。  それぞれの輝ける場所で、精一杯輝く。  それが1番の幸せだと信じて。 

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