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Hakoniwa 6

 厳しい目の女性社員達からお褒めの言葉を頂けるとは、思いのほか優秀な人材のようだ。 「しっかりしていると言えばあの子、毎日お手製のお弁当を持参してるのよね。これがまた美味しそうで、感心しちゃった。茶色じゃないの、ちゃんと目でみて美味しい色彩にしてるの、びっくりよ」  それは凄いなと感心しながらグラスビールを飲み干した時、前方の卓を二つ越えた先に、宮部の姿を見つけた。大男の隣にいるせいか、小さな身体が更に小さく見える。よく見れば前かがみに俯いているように見える。具合が悪そうだなと気にした矢先に立ち上がり出入り口へ向かってよたよたと歩き出した。危なっかしい足取りを見てしまっては放っておけなくなり、半ば反射的に三上も立ち上がった。 「三上くん、どうしたの」  女性の問いかけに電話ですと答え、席を立った。座敷を抜け廊下に出たが、宮部の姿を見失ってしまった。辺りを見回すと、入口付近のベンチに座っている宮部の姿を見つけ、頭で考えるよりも先に身体が動いた。なんというか、そう、保護しなくてはという感情を沸きあがらせるのだ、宮部という男は。 (見るからにぐったりしてるな……)  どうしたものかと考えながら近付くと、三上が声をかけるよりも先に宮部が三上に気付き、勢いよく立ち上がって深々とお辞儀をした。が、次の瞬間にはへなへなと椅子に座りなおしてしまった。だいぶ酒がまわっているようだ。 「具合が悪そうだな、大丈夫か」  声をかけると、宮部は恥ずかしそうに微笑み、お酒に弱くてと言って俯いた。全然想像通りだ。むしろその姿でざるの酒豪だったならば、逆に引く。 「宴会はまだ続きそうだし、このまま帰っておけ」  三上の言葉から数秒遅れた後、慌てたように宮部は声を上げた。 「ありがとうございます、でも、少し休めば大丈夫です」 「無理して倒れたら余計迷惑だろう。鞄と上着を持ってくるから、ここにいろ」 「そ、そんな、三上係長にご迷惑は!」  充血した瞳で慌て始める宮部の肩に手を置き、ベンチへ押し戻す。 「本木には俺から言っておいてやるから心配するな。丁度良いし俺も帰る」 「え?」 「南千住なんだろ、管理部の姉さん達から聞いた。俺も南千住だし、一緒に帰る」 「え、ええっ」

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