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風邪と看病 5
「うっ……こん、な、はずかしっ……」
「ああ、泣くな、俺が悪かった」
優しい声でキスしてと囁かれ、涙を零しながらおずおずと唇を近づけた。つい先程、風邪が移るといっていたのはどこの誰だと思いながらも、求められるままに唇を重ねれば途端に舌を絡めとられ、濃厚なキスを繰り返される。両手で掴み上げられた腰は三上の自在に揺さぶられ、前立腺を強く擦られ続ける。
「ん、あっ、も、もうだめ、いく、いっちゃう……」
「俺も、いく、結音、俺にかけて」
「そ、そんなの、だめ……あっ、あっ」
宮部の白濁が勢いよくほとばしり、三上の腹と、それから顔に、飛び散った。直後に三上も宮部の中で熱を放つ。
はあはあと肩で息をしてから、はっと眼下の状況に気付き、顔面蒼白になった。三上さんの端正なお顔に(しかも病みあがり)俺の精液が、とび、とび、とびち……。
「わああああすみませ、すみません!!! タオ、タオル」
慌てふためく宮部を眺めながら、三上は手の甲でそれを拭い、あろう事か舌先で舐め取った。その仕草が余りに妖艶で、宮部はぼぉっと見惚れてしまった。
(はっ、見惚れてる場合じゃない)
「タオルはいいから、くっついて」
両腕で身体を引き寄せられ、あっというまに抱きしめられる。けれど、自分の中にまだ三上の息子は入ったまま。しかもまだ、完全に萎えてはいないのがわかってしまう。
「み、みかみさん、風邪」
「運動したほうが治る」
そんなの聞いた事ありませんといいたいのに、キスで唇を塞がれた。重ねて、離れて、重ねて。離れて。再び、重なる。その度に身体の奥から甘く、どろどろと蕩けていく感覚。
この人には、観念するしかないと、宮部は小さく息を吐いた。
そのかわり、今日一日はしっかりと療養してもらおう。おかゆをつくって、りんごを擦って、そうだ、スポーツドリンクを買ってこなくちゃいけない。今度からちゃんと買い置きをしておかなくちゃ。共倒れにならないように、薬も一緒に飲んでおこう……。
諸々と家事の事を考えながらも、再び訪れた快楽の海に身体を揺さぶられた。
激しくも優しいその流れに身を委ねながら、宮部は愛する恋人の恍惚とした表情を見つめ、頬を緩めて微笑んだ。
おわり
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