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第1話

暑い夏の日。 グラウンドの端っこにあるベンチはちょうど陰がかかっていて休むのには最適な場所。 授業をサボって俺はそこに居た。 シャクッと音がして手に持っていたアイスシャーベットを隣にいたハルこと、浅羽晴臣(アサバハルオミ)に食べられたことに気づく。 「うめえ」 「ちょっとハル、アイス取らないで」 「いいだろちょっとくらい」 「さっきもそう言って俺の取ったじゃんか!」 ハルに背中を向けてアイスを齧る。 「陽和(ヒヨリ)、そろそろ俺帰るわ」 「え、何で?さっき来たばっかりじゃんか」 突然帰ると言い出したハルを批難すると「えー」と言ってスマートフォンを見ながら立ち上がった。 「親父に呼ばれたし」 「ハルのお父さんはハルが高校生ってわかってるのに呼び出すの?」 「まあな」 地面に置いていたカバンを持って本当に帰ろうとするハルの腕を掴む。 「帰らないでよ、寂しい」 「・・・そういうのは彼女に言えば喜ぶんじゃねえかな」 「彼女とかいないし」 「まあお前可愛い顔してるもんな。余程の美人じゃなきゃ誰もお前と付き合いたがらねえだろ」 「うるさいな!さっさと帰りなよ!」 手を離すと「悪い悪い」と笑ってグラウンドを突っ切り校門に向かい歩いていく。 残りのアイスを口に詰め込んだ俺は一つ溜息を吐いて小さくなっていくハルの背中を見つめる。 「・・・彼女とか、要らないし」 俺が好きなのは、ハルだもん。

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