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第4話
「何? 百瀬、好きなやついるの?」
「同じクラス?」
「教えろよ~」
布団を頭から被って黙秘権を行使しようとする茉以を、田宮の言葉が引きずり出した。
「片岡に告れば、お前と付き合ってやってもいいぜ?」
勢いよく頭を出した茉以に、周囲はどよめいた。
「百瀬、田宮のこと好きなのか!?」
「田宮、お前はどうなんだ!?」
「いい! どうでもいいから、ここで今すぐキスして見せろ!」
そこへ、勢いよくドアが開いた。
「お前たち、早く寝ろ!」
先生だ!
生徒たちは、あっという間に自分の布団にもぐって静かになった。
「しばらく、ドアの外で見張ってるからな!」
そこまで言われては、眠らないわけにはいかない。
しぶしぶ目を閉じた生徒たちだったが、眠れない少年が一人いた。
茉以だ。
(田宮くんったら、何てことを!)
『片岡に告れば、お前と付き合ってやってもいいぜ?』
どうしよう……。
いろいろと思い悩んでいると、体に誰か触れてきた。
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