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第18話
そこまでで、智樹は傘を差し出した。
「はい。早く帰らないと、家族が心配するよ」
「ありがとう」
茉以を見送った後、智樹は肩を落とした。
「ごめん、百瀬くん」
解ってるんだ、君の告白が何かの冗談だ、ってこと。
「周りの空気、変だったし。田宮くんが、ニヤニヤしてたし」
人をいじって遊ぶことが好きな、彼のことだ。
きっと百瀬くんに命令して、付き合え、なんて言わせたに違いない。
「でも……」
嬉しかった。
嘘でも。
ずっと、独りで生きてきた。
「疲れてるんだ、俺。きっと、人恋しいんだ」
だから、OKしてみせた。
「百瀬くん、優しいし」
明るいし、素直だし、可愛いし。
そこまで考えて、智樹は頬を染めた。
「俺、百瀬くんのこと、好きなんだ」
すぐにフラれると解っていても、この気持ちは抑えられなかった。
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