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第32話

「あ、あぁ。はぁ、あ。もう、赦してぇ……」 「ちゃんと解れた?」  智樹の指は、茉以をさんざん苛めていた。  本人はその気がないのだろうが、太くて長くて節のある智樹の指は、茉以を狂わせるには充分過ぎた。  指だけで二度も果ててしまった身体は、痺れて疼いて、どうしようもなく渇いていた。 「も、いいから。早く智樹の、ちょうだい……」 「じゃあ、挿れるよ」  ぐちぐちとハメられるだけで、茉以はとろりと体液を吐いた。 「あ、いい。すごく、い……」  智樹の顔を蕩けた眼で見ながら、首を仰け反らせる。  田宮の時には感じることのなかった官能が、そこにはあった。  奥まで挿れてしまうと、智樹は体をかがめて茉以にキスをした。 「動いても、いい?」  甘いため息を吐きながら、茉以は首を縦に振った。

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