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47.どうにかなったようです

 翌日の火曜日。午後の休憩をしようかという頃、桂に声をかけられた。 「岡君にも声かけたから」  あまり他の社員を刺激したくないから会社で声をかけてほしくはなかったのだが仕方ない。背中に感じる視線が痛い。本当に勘弁して欲しい。  自動販売機が並ぶ休憩スペースへ岡と共に向かうと桂だけでなく(あらた)と岡の同期の佐藤もいた。内心いったいなんなのかとげんなりする。佐藤が岡に告白とかだったら俺はいらないだろう。 「二人ともコーヒーでいい?」  桂がそう言いながらもうボタンを押している。別にこだわりはないので了承した。 「ああ」  財布を出そうとすると止められた。なんなんだいったい。 「はい」  岡と共にコーヒーの入ったカップを受け取ると、桂が新に目配せした。新の目がきょろきょろ動く。 「ほら……」  桂に促されて、新が一歩前に出た。 「その……ごめんなさい!」  頭をバッと下げられて面食らった。岡を見ると首を傾げている。 「あ、あの……私が、その……誤解を受けるようなことをしていたので……」  その後ろにいた佐藤が消え入りそうな声で何やら言い始めた。 「ええと、その新先輩が……私が岡君に……気があると勘違いしてしまって……すいませんでした!」  それでやっと合点がいった。 「本当にごめんね。佐藤さんが岡君をよく見てるなーと思ったから私たち早合点しちゃったのよ。なんか、時期的なものもあって考えすぎちゃったのかも」  桂が新の行動について弁明する。そういえば岡と佐藤がどうのと新が俺に言った時、桂はすでに帰った後だった。 「誤解が解けたなら別にいいだろ? 新も気にしないでくれ」 「ごめんね、本当に! ありがとう!」  岡も苦笑して佐藤に声をかけた。 「まぁいいけど。ほどほどにね」 「はい、ごめんなさい……」  それから忘年会の話になった。もう出欠は出してある。一次会だけ参加する予定だ。岡もそのつもりで、一緒に帰ることにしていた。 「えー、二次会とか行かないの?」 「新年会もあるだろ? ほどほどでいいんだよ、ほどほどで」 「じじくさーい」 「じじくさくてけっこう」  女性陣は二次会でカラオケに行く気まんまんらしい。金払ってまで参加するものでもない。  適当に情報交換して戻ると、中島がひょこひょこやってきた。だから何もねえっての。 「……長井、何の話してたんだよ?」 「忘年会だよ。俺は一次会終えたら帰るからさ」 「えっと、女子は……」 「二次会まで行く予定らしいぞ。って、合コンはどうしたんだ?」 「なんで知ってんだよ? 長井ももしかして……」  やぶへびだった。 「行かねぇよ。そもそも誘われないしな。岩水と話してたろ、昨日」 「ああ、うん、まぁ……」 「がんばれよ」 「おう……」  中島は狐につままれたような顔で戻っていった。  だからいいかげん仕事をさせろっての。今日はジムにも寄るからあんまり残業したくないんだ、俺は。  岡が少し心配そうな顔で俺を窺っているのが見えた。後でLINEでも入れてやろう。そうして仕事に集中し、残業も一時間程度で帰ることができた。  ジムに行くと岡が先に来ていた。 「先輩、今日は僕も先輩のうちに行っちゃだめですか?」 「? まぁいいけど……どうしたんだ?」  岡が耳元に唇を寄せた。 「先輩が抱かれて乱れている姿が見たくなりまして」 「……ばか……」  赤面してしまうじゃないか。岡はすぐ安田に連絡を入れ、安田も了承したようだった。なんだかんだいって俺たちは岡に甘い。  ひとしきり身体を鍛えた後安田と合流して飯を食いに行った。 「今夜は先輩のこと抱きませんので、いっぱい感じてるところを見せてくださいね」 「何もしないのか?」 「中に僕のは入れません」 「よく耐えられるなー」 「むしろご褒美です」  帰宅していたたまれない会話を聞かされる。恥ずかしいから本当に勘弁してほしかった。  平日はあまり時間もないから二人を受け入れるのはたいへんだろうが、岡のを受け入れないとなるとどうなるのだろう。そもそも俺は岡がそこにいるのに岡のイチモツを受け入れないでいられる自信があるのか?  なかなか難しい問題だった。  そしていつも通り中を洗浄し戻ってくると、岡に唇を奪われた。

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