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冬の夜をきみと 5
「だから余計愛着が湧くんだよな」
ハハハと笑う佐川さんの横顔を眺めながら、はぁと半端な返事を返す。
愛着……褒められているんだろうか?よくわからねぇ。
「そういやお前、彼女は出来たのか」
「え、え?」
突然話題を振られ、瞬きを数回繰り返す。以前聞かれて、居ないと答えたことを思い出した。
(あの時は付き合い始めだったし……)
などと自分を正当化しようとしても、それはごまかしだとわかっている。あれから半年以上たった今だって、はっきりと答えられない。どう答えて良いのかわからない。
「世間じゃクリスマスだろ、デートの予定があるなら早く仕事上げてやるから」
「あー、いや……大丈夫っす」
「なんだ、約束ないのか」
「いや、あるけど別に……彼女とかじゃないんで」
そこまでいって、チクリと胸が痛くなった。
「ふぅん?」
佐川さんはチラリと横目でおれに視線を投げたが特に突っ込みもなく、その話題は流してくれたようだ。
「明日の展示会ヘルプ、香取も出るんだよな」
「あ、はい。午後から交代って聞いてますけど」
「まったく人使いの荒い会社だよな。やっぱり今日は早く上がれるように頑張ろう」
明るく気合をいれる佐川さんを眺めながら、もしかして気を使ってくれたんだろうか……と少し思った。
あ、でももしかしたら。
佐川さんの方こそ今日は予定があるのかもしれない。面倒な仕事があったら俺がひとりで出来るようにしないと。
(ハルとの約束は8時だったな)
そうだ、また無駄にヘソ曲げてそうだから、あとで一本電話をいれておこう……。
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