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雪の蝶 7
「省吾? どうした」
ハルの声でハッと我に返る。見惚れていたと気付いた途端、恥ずかしくなって目を逸らした。
「いや、お前の肌が白いなあと思ってさ」
「ああ、子供の頃は嫌だったけどね」
「そうなのか?」
「日焼けしても赤くなるだけで黒くならなかったし、色白でからかわれたりしたし」
そんな昔があったのかと少し驚く。だからこいつ、剣道やら弓道やら、身体を鍛えたんだろうか。
「だから嫌だった」
「そうか、綺麗だぞ」
「綺麗? 男を褒める言葉じゃないよ」
ハルが笑う。
「そか、でもお前の肌、綺麗だし俺は好きだけど」
思ったままを言葉にすると、突然ザバンと湯に浸かったハルが目の前にやってきた。
「わ、何だよ怒ったのか」
やる気かと身構えた瞬間、両頬を包まれキスをされた。舌と舌を絡め合い、唇を離してもすぐに再び重なり合う。
月明かりの下で、ハルと俺は何度もキスを繰り返した。
「……誰かに見られたらどうすんだ」
「貸し切りだよ」
「どこから見られるかわかんねーだろ」
「じゃ見せたらいいよ」
月明かりの下で、ハルが微笑んだ。
ああ。
やっぱり好きだなと思えば嬉しくて、俺も頬を緩めて笑った。
ハルの舌先が耳から首筋へ、胸へと這い、赤く膨らんだ胸の先端をくすぐるように転がして、その周りをぐるりと舐めた。痺れが走り身体を震わせた俺を楽しむように、胸の尖りには触れずその周りに舌を這わせる。
(こんなの……昔は何も感じなかったのにっ……)
「ハ、ル」
「なに」
身体が疼く。そこじゃない、もっと……。
「わざと、だろ」
「どうして欲しいの」
「……」
「いってくれなきゃわかんないよ」
焦らされるもどかしさに身体が反応してしまう。こんな身体にした張本人は、目を細めて口角を引き上げ、的外れな場所に舌を這わせている。こいつは本当に意地が悪い。俺が恥ずかしがる姿を見るのが最高に幸せだと言いのける変態だ。反省なんて勿論しない。
「さ、触ってほし……」
「どこを? どうやって?」
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