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いつもの日常。
「凛、ほら起きて?遅刻しちゃうよ?」
体を優しく揺すられた感覚に、重たい瞼を
開けた。
「…れん?…今何時?」
「7時半だよ。」
眠気眼な俺の声に蓮が答えながら、勝手
知ったるように部屋のカーテンを開けた。
「ふふっ、寝癖ついてるよ?今日も凛は最高に
可愛いね。」
チュッと軽いリップ音と共に、おでこに柔らかい感覚がおちる。
「…可愛くねぇよ、別に。」
「そういう素直じゃないとこも好きだよ?
ほら、顔洗っておいで?初日から遅刻は嫌
でしょ?」
俺の頭を撫でてから、今度はチュッと頬にキスを落とし、蓮が機嫌よさそうに一階に下りて
いく。
…常々思うが、あいつは一回視力検査に行った方がいいんじゃないか?
俺の顔は可愛い可愛いと連呼するほど、可愛くもなければイケメンでもない。しいて特徴をあげるならば、この低身長と童顔のせいで実年齢より若く見られることが多いぐらい。
要するにどこにでもいる平凡顔ってわけだ。
「…良い匂い。」
「ふふっ、今日は凛の好きなフレンチトーストにしてみたんだ。」
それに対して俺の幼なじみの蓮は、
誰もが認めるほどの美形だ。
イギリス人とのクォーターだからか、蜂蜜色の
ふわふわした髪は地毛。目は透き通るように
青く、比喩ではなく本当に宝石のように
キラキラしている。
高身長でスタイルもよく、ムカつくことに俺とは20センチ以上の差があった。
その上、成績優秀で家は金持ちときた。
神ははこいつに二物どころか、5物ぐらい与えて
いると思う。
世の中不公平だ。
「美味しい…」
「ふふっ、良かった~。」
蓮お手製のフレンチトーストに、たっぷりの
蜂蜜をかけて食べるのが俺流である。
「りーん。ついてるよ?ほっぺ。」
「え?」
蓮の長い指が伸びてきて、俺の頬を優しく
拭った。
「…甘いね。」
蜂蜜がついた指を蓮が口に含み笑みを
浮かべる。
「うん。美味しい。ありがと、蓮。」
別にいつものことなので特に何とも思うこと
なく、俺はフレンチトーストを再び口に
含んだ。
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