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「…ねぇ、蓮。」
「ん?」
歯磨きをしている俺を背後から抱きしめ、
チュッチュッと頭にキスをしていた蓮に声を
かけた。
「…あの、学校、別々に行かない?」
「は?」
「え…?」
今まで聞いたことのないような、低い声に
思わず鏡の中の蓮を見た。
「蓮…?」
「……どうしてそんなこと言うの。」
歯磨きし終わっても、なお、俺を拘束した
まんまの蓮に抗議の意味も込めて振り返る。
恨みがましい目でこちらを見ている蓮と
がっちり目が合った。
「だって、、、蓮と一緒にいると目立つし。」
蓮には悪いけど、もう中学のときのような思いはしたくない。
蓮の拘束をなんとか振りほどいて、俺は自分の
部屋に向かおうと階段に向かう。
「…凛はそんなに僕と離れたいんだね。」
「…なんでそうなるのさ、」
すがり付くように、俺の腕を掴んだ蓮にため息を吐く。
「家でもほぼずっと一緒にいるんだから、学校
ぐらい離れていたっていいだろ?」
「嫌だ!絶対に無理!!僕も一緒に行く
から!」
「……」
中学のときから、
学校の王子様的な存在であった蓮。
そして、平々凡々とした俺。
俺が蓮の側に常にいることを、よく
思わなかった人も沢山いた。
軽い嫌がらせのようなことも蓮のおかげで
なくなったが、いかんせん、蓮に守られてる
ような気がしてならない。
俺が女の子ならまだしも、同級生の男の
幼なじみに守られた生活とはいかがなもの
だろうか。
両親が海外出張で一人暮らしの今、朝は蓮に
起こされて、朝御飯、夕飯まで作ってもらう日々。なんなら、家の掃除や洗濯まで蓮が やってくれることも多々ある。
このままじゃ、
蓮がいないと生きていけないダメ人間になる。
「…凛、そんな顔しないで?僕と一緒にいるの
そんなに嫌なの?」
泣きそうな顔して、玄関に向かう俺の後ろを
着いてくる蓮。
「…嫌じゃないよ。」
蓮と一緒にいることが嫌なわけではない。
けど、
「ほら、一緒に行くんだろ?学校。」
少し笑って、蓮の顔を覗きこんだ。
「…っ、凛!好きだよ、大好き。」
ガバッと強く抱きしめられ、思わず身を
よじる。
「………苦しいんだけど、、、」
いい加減、蓮ばなれしなくてはならない。
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