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第9話リーちゃんの誕生日旅行③

宿に戻って上げ膳据え膳の美味しい食事を楽しみ、今は部屋についている広い内風呂に浸かっている。サンガレアは温泉地だ。宿の内風呂も当然のように温泉で、柔らかな水質のお湯がとても気持ちいい。 街にいくつもある公衆浴場に行ったことはあるが、こうして広い風呂に馬鹿と2人だけで入るのは初めてだ。リオールはすぐ隣に座って気持ちよさそうに目を閉じている馬鹿を横目に見た。 馬鹿は旅行の準備段階からとても楽しそうで、旅行が始まってからも、ずっとふにゃふにゃと楽しそうに笑っている。リオールも楽しい。旅行なんて初めてだし、馬鹿と一緒だから。 明日は近くの森を散策して過ごす予定だ。森を歩くなんてしたことがないが、ちゃんと道が整備されていて、森の中には休憩所みたいな喫茶店もあるらしい。馬鹿が宿の主人から話を聞き出していた。誰とでも親しく話せる馬鹿は素直にすごいと思う。リオール1人だったら絶対に無理だ。馬鹿がリオールを喜ばせる為に、色々やってくれているのは分かっている。少しだけむず痒いが、それ以上に胸の中が温かく満たされているような気がする。 リオールは小さく、ふぅ、と息を吐いた。 「リーちゃん。のぼせた?」 「別に」 「そう?僕はそろそろ出るね。こんなにゆっくり温泉に浸かるのって初めてだけど、流石に熱くなってきたよ」 「ん」 そもそも馬鹿は早風呂だ。お湯に長く浸かるのに慣れていない。ざばぁっと湯船の中で立ち上がって温泉から出ていく馬鹿を見送り、リオールは口元までお湯に沈めた。ぶくぶくぶく……とお湯の中で小さく息を吹き出す。 泊まる部屋にベッドは2つあった。別々に寝るのだろうか。もう10年以上2人でくっついて寝ているので、1人で寝られる自信がない。何より、馬鹿に触れたい。有り体に言うと、セックスがしたい。泊まっている宿の部屋でセックスをするのはマズいのだろうか。旅行が決まってから、連休を取る為に仕事が忙しくなった。10日近くセックスをしていない。オナニーもしていない。そもそもリオールはオナニーなんてしない。溜まったら、セックス本番をしなくても、馬鹿と一緒に触りっこをして馬鹿に抜いてもらう。今すぐ馬鹿とセックスがしたい。 宿のベッドを汚す訳にはいかないのでセックスは無理だろうが、舐め合いっこや触りっこくらいはいいだろう。 リオールはヤると決めて、湯船の中で立ち上がった。温泉に浸かると、肌がすべすべになった。身体をタオルで拭きながら、自分の腕を撫でてみる。しっとりすべすべな感触に、馬鹿が喜ぶかな?と、ふと思った。自分の肉つきが薄い尻も撫でてみれば、腕と同じく、しっとりすべすべの吸いつくような肌になっている。馬鹿の肌もこうなっているのだろう。なんだな新鮮である。早く馬鹿に触れてみたくて、リオールは雑に身体を拭き、ガシガシと短くしている髪を拭いた。 リオールが下着と宿が用意していた寝間着のシャツだけを着た状態で部屋に戻ると、ちゃんと寝間着を着た馬鹿がベッドのシーツの上に大判のタオルを敷いていた。リオールが風呂から出たことに気づいた馬鹿が、ふにゃっと笑った。 「リーちゃん。僕ね、いいもの持ってきたんだー」 「は?いいもの?」 「じゃっじゃーん!これです!」 リオールは馬鹿が見せてきたものを見て、すんっと真顔になった。馬鹿の手の中にあるものは、所謂大人の玩具というやつである。 馬鹿はリオールよりもエロいことに興味津々で、気持ちいいことが好きだ。仕事が休みで1人の時に、ふらっと花街にある大人の玩具専門店に行き、色々買って、リオールが不在の時にアナニーをするくらいである。リオールは道具なんか使ったことがない。馬鹿のペニスだけで十分だ。 今、馬鹿が見せているものは、リオールが初めて見るものだ。2本のペニスが逆向きに繋がって、まるで1本の長いペニスのようになっている。 馬鹿がキラキラした目で口を開いた。 「これね、双頭バイブって言うんだ。魔石内蔵だから動くよ。ほら」 ウィンウィンと小さな音がして、馬鹿の手の中の双頭バイブとやらが、くねくね動き始めた。動きが気持ち悪くて、正直ちょっと引く。 馬鹿がふにゃふにゃの笑顔を浮かべながら、リオールの名前を呼んだ。 「リーちゃん。これで一緒に遊ぼうよ」 「……マジで?」 「マジで!」 期待に輝く馬鹿の瞳の無言の圧に、リオールは負けた。普通にセックスがしたいのだが、馬鹿は遊ぶ気満々だ。双頭バイブとやらの形状から察するに、2人同時にアナルに挿入して使うものなのだろう。リオール達の家の狭いベッドでは使いにくそうな代物だ。宿のベッドは大きい。2人で寝てもかなり余裕がある。2人でベッドの上で『遊んで』も問題なさそうだ。 リオールは喜々とした様子で寝間着を脱ぎ始めた馬鹿を眺めながら、小さく溜め息を吐いて、寝間着のシャツと下着を脱いだ。 お互い全裸になり、ベッドの上に寝転がって、ぴったりとくっつく。馬鹿のぷよぷよの腹肉をむにむにすれば、いつもよりも肌がしっとりすべすべである。馬鹿が優しくリオールの頬をぷにぷにの掌で撫でたので、リオールは馬鹿に顔を更に近づけて、馬鹿の唇に唇をくっつけた。 馬鹿の下唇を優しく歯で挟んで引っ張ると、すぐ間近にある馬鹿の柔らかい亜麻色の瞳が楽しそうな色を浮かべた。歯を離すと、馬鹿が優しく唇を吸ってくる。小さな音を立てながら、戯れるように唇を吸い合っていると、馬鹿の手がリオールの腰をやんわりと撫でてきた。馬鹿には言わないが、ぷにぷにとした優しい掌の感触が好きだ。リオールも馬鹿のぽよんぽよんしている脇腹を撫でる。馬鹿はどこもかしこも、ぽよんぽよんで柔らかい。 脚を絡めあって、お互いの下腹部を擦りつけ合う。じわじわ興奮してきた。馬鹿のペニスはもう固くなっている。玩具なんて使ったことがない。馬鹿は割と好きらしいが、どんなものなんだろうか。まさか玩具だけで終わることはなかろう。馬鹿の無駄にデカいペニスをアナルで受け入れないと、リオールの気がすまない。早く下腹部に当たっている熱くて固いものでリオールの中をみっちり満たして欲しいが、初めて経験することになる玩具に、少しだけ期待と興奮を感じる。 馬鹿の口内に舌を入れて、ねっとりと上顎や歯の裏を舐め回すと、馬鹿がくぐもった声をもらした。ぬるぬると馬鹿の舌と自分の舌を絡ませる。キスだけで気持ちがいい。普段とは違う空間というのも、なんだか興奮する。 馬鹿が唇を触れ合わせながら囁いた。 「リーちゃん。お尻舐めていい?」 「ん」 馬鹿にアナルを舐められるのは好きだ。リオールが頷くと馬鹿がちゅっと唇を吸って、起き上がった。馬鹿に促されて、四つん這いになって上体を下げ、尻だけを高く上げるような体勢になる。馬鹿の手が腰に触れ、直腸に浄化魔術をかけられた。期待で心臓が高鳴る。馬鹿の両手がリオールの肉づきの薄い尻を揉み、ぐいっと尻たぶを広げられた。アナルに直接外気が触れ、思わずきゅっとアナルに力を入れてしまう。 馬鹿の唇がリオールのアナルに触れ、優しくキスをされる。ぬるっと馬鹿の舌がアナルを撫でていく。ゾクゾクゾクッと微かな快感が背を走る。丁寧に優しく動く馬鹿の舌が気持ちいい。慣れた快感に熱い息を吐きながら腰をくねらせると、馬鹿がアナルに舌を這わせながら、リオールのペニスを片手で掴んだ。アナルの皺を伸ばすように、ぺちゃぺちゃと丹念に舐められながら、ゆっくりと勃起しているペニスをしごかれる。アナルに舌を突っ込まれると同時に、先走りで濡れたペニスの先っぽを指先で少し強めにぐりぐりと擦られた。堪らず馬鹿を呼ぶと、アナルに入り込んだ馬鹿の舌が小刻みに上下に動き始めた。リオールが好きな舐め方である。リオールは我慢できずに喘ぎながら、だらしなく開けた口から舌を伸ばした。 馬鹿の舌を舐めたい。馬鹿のペニスも舐めたい。馬鹿のアナルも舐めたい。気持ちいいが、舌が寂しい。馬鹿の粘膜に触れて、馬鹿の味を味わいたい。 リオールは伏せていた上体を起こして、首だけで振り返った。 「ナー」 「んー?」 「俺も、舐める」 「うん」 馬鹿がリオールのアナルから口を離した。涎が口内に溜まって少し邪魔くさい。ごくっと飲み込んでから、仰向けに寝転がって、自分で膝裏を持ち、まるで赤ん坊がおしめを替えるような体勢になった馬鹿の太腿に触れた。ぷっくりと縦割れになっている馬鹿のアナルに鼻を近づけ、すんすんと匂いを嗅ぐ。片手で馬鹿の腰に触れて浄化魔術をかけ、アナルから会陰、陰囊まで、ねろーっと舌を這わせる。馬鹿の身体がビクビクと小さく震える。内腿にも舌を這わせて、少し強めに吸いついて痕を残す。普段はしないが、なんとなくそういう気分なので痕をつけた。柔らかい馬鹿の内腿にやんわり噛みつき、気が済むまであむあむとしてから、馬鹿のアナルに再び舌を這わせる。手を伸ばして馬鹿のペニスの先っぽに指先で触れれば、もう先走りでぬるぬるになっている。堪え性がない馬鹿である。リオールも人のことは言えないが。 馬鹿のアナルを思う存分舐め回し、ひくひくと物欲しげに収縮している馬鹿のアナルに舌を突っ込む。アナルに舌を抜き差しするように動かせば、馬鹿が気持ちよさそうに喘いだ。 むっちりとしたデカくて柔らかい尻を揉みしだきながら、リオールは好きなだけ馬鹿のアナルを味わった。

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