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4.ポップサーカス 【3】

「そうか…風邪、うつすかもしれないけど…」 「批土岐ならいーよ」 遠慮がちに呟く批土岐に、俺はニコりと微笑んだ。 「…可愛いな、京灯」 「お?」 「それに、今日は随分大胆なんだね」 「ひ、批土岐?」 さあ、ここから俺の攻め人生が始まる!と思っていた俺。 相変わらず色っぽい顔をする批土岐ではあったけど、なにかその表情からは余裕を感じさせる。 「うつしたら悪いと思って自粛しようと思ってたんだけど…そんな京灯見てたら俺、無理みたいだ」 「な…なにかな批土岐くん?」 薄く開く唇に見とれながらも、俺の求めていた批土岐とは違うってことに気付いた。 「ちょっ…、ひとっ…んぅっ」 この体勢はどう見ても俺のほうが優位のはずなのに、批土岐は俺の顎をくいっと上げると、そっと唇に触れてきた。 「ふっ…は、んっ…」 すぐ離れていくのかと思いきや、それは徐々に深いものへと変わっていく。 さっき俺が仕掛けた時よりも深く、内部では舌が絡み合い、逃げようとしてもすぐに捕まってしまう。 「はっ、ぁ…批土岐っ…」 溢れ出した唾液が唇から、つうっと伝い落ちていってもまだ続いた口づけ。 息苦しさが限界に近付いてきたところで、漸く解放された。 「可愛い、京灯」 「やっ、それは何かの間違いだから!」 寧ろ可愛いのはアンタのほうだよ! 熱っぽい潤んだ瞳を向ける批土岐に、これでもかって位にムラムラしているのに。 「うん、我慢出来ないな。折角、京灯のほうから誘ってくれたんだしね?」 「いやっ、誘うってゆーかあれはっ…そのっ」 俺の気持ちとは裏腹に、じわりじわりと寄ってくる批土岐に一歩一歩後退する俺。 誘ったは誘ったかもしれねえけど、あれはお前を攻めるつもりでした行動であってぇ!! 「欲情しちゃった」 「…ははっ」 そんなウットリした顔で、あっさり言わないでくれよ! 誰もんなことハッキリ言っちゃうような奴だとは思ってないんだからな! これはきっと、風邪引いてる批土岐に手を出そうとしたから罰が当たったに違いない。 でも今ならまだ大丈夫、すぐに元来た道を引き返そう。 「あぁ~…そろそろ行かないと授業がやばいぜ?」 そうだそうだ、優等生な批土岐くんが授業をサボったらマズいだろう。 良い考えだ!と思った俺は、逃げるように歩き出した。 「待って京灯」 「おわっ!」 歩き出したんだけど、一歩踏み出したところでぐいっと勢い良く腕を引っ張られてしまう。 情けない声と共に、あっという間に批土岐の胸に背がぶつかった。 「捕まえた」 「はっ離せえぇ~っ、見逃してくれえぇ~っ」 批土岐に受け止められた体を離そうと必死に前へ進もうとする俺。 でもそれを許してもらえず、少し熱っぽい批土岐の指がシャツのボタンとボタンの隙間に入ってきた。 「ひっ批土岐!やばいってマジでっ…」 後ろから押さえ込まれ、このままじゃ本当にやばいと思った俺は焦り出す。 図書室なんすよココは?! 万が一誰かに見つかったらどうすんだよっ…!

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