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13.ポップサーカス 【4】
「ッ…」
再び理科室に戻ってきて、また机の上に座った俺。
目の前に立つ批土岐の首筋を眺めながら、どこかぼんやりと「色っぺえなー」なんてやっぱり思ってしまっている俺がいる。
その批土岐の腕が伸ばされて、すでに張り詰めていた俺自身を掠めるように指先で軽く触れた後に、ベルトに手がかかる。
「辛かった?」
「…そりゃ」
カチャカチャと金属音をさせながら、ゆっくりと窮屈な世界から解放されていく俺自身。
批土岐の問い掛けに真っ向から否定したいところだったけど、こんなにしておいてそりゃ逆に惨めだぜ俺と思って、視線は逸らしながらもここは素直に。
「…んっ」
弾かれるように飛び出した瞬間、丁度布地に先端部分が当たってしまい、 ジワリとした刺激にたまらず声が漏れた。
「京灯…」
「あっ…」
耳元で囁かれる度にピクリと体が反応してしまい、ますます俺の中から理性が失われていく。
そんな俺の状態を見つめ、再び口元が寄せられてくる。
「批土岐ッ…待った」
「…?」
触れ合いそうな距離まで間が狭まったところで制止の言葉。批土岐が不思議そうな顔をする。
「口ピ…、取るから…」
だってさ、あのままいってたらまた批土岐に俺の口ピ刺さって流血沙汰じゃん?
コイツ結構無茶するからさー……
「ッ…」
至近距離で見つめ合った後に批土岐が離れていったのを合図に、俺は口元の鋲ピアスに触れる。
「……」
意識が朦朧としてきていたせいか、なかなか上手くいかない。
ちっくしょー…なんて思いつつ悪戦苦闘する俺を、暫くの間は黙って眺めていた批土岐。
「もうちょいッ…ん!」
俺は苦戦しながらも後もうちょいで取れるとこまではこぎつけていた。
しかし、後一歩ってところで感じた甘い感覚。
唇から出された声の甘さに、視線を巡らしてみれば。
「ひ…と、きっ…!あっ、やめ…んっ!」
チュッ、とキスでもするかのように最初は軽く触れてから、俺自身を口に含んでいた。
そのせいで、折角もう少しってとこだったのに、手元が狂って快感に翻弄される。
て、これじゃ口ピ取れねえじゃん!!
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