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12.ポップサーカス 【4】

「ッ…!あっ…」 批土岐を残して何処かへと走り去ろうとした時、最後まで俺の邪魔をするソレ。 動いたことによってまた微妙な所に当たって生まれた感覚に、力なくその場にしゃがみ込むことしか出来なかった。 「京灯ッ…」 「さ、…わんなッ…ん!た…のむ、からッ」 頭を抱えて顔を見せないようにして、もう無理耐えらんねえ。 あんな小さなモノにこれだけ目一杯振り回されて、当然のことながら気持ちが高ぶって普通に勃っちゃってて。 「ごめんね、京灯」 「…っとき…?」 小さくうずくまりながら、マジ俺もう死んだほうがいい!て位に体が高ぶっていた時。 突然に投げかけられた言葉に驚いて、つい顔を上げてしまった。 「んっ…!」 それを逃さずに顎をぐいっと上げられたかと思えば、一瞬の間もなく唇が押し当てられて。 「ふっ…ん!」 絡めとられる舌、激しく口内を掻き乱されながら息もまともに出来ない状態が数秒続いた。 「…ッ??!」 だけどそうしている内に、俺はあることに気が付く。 「はッ…!っと…き…!」 口ピ、したまんまだぞ俺。 しかも始末が悪いことに、鋲型のピアス。 そんな鋭く尖ったのが口元に収まっていたっていうのに、躊躇いなく押し当てられた批土岐の唇。 触れ合ってる時間が長かったせいか、かなり気付くのが遅れたけれど。 「お前ッ…血ぃ出てんじゃん…」 「…あ、そういえば」 苦しさも限界に達しそうになったところで離れていった批土岐の唇。 見れば案の定、その口元からは細く紅い糸が伝い落ちていて。 「…ッかやろ、…っにやってんだよッ…」 綺麗な顔に傷付けちゃったじゃん。 なんでそんな無茶なことすんだよお前。刺さったら痛ぇんだぞッ…?! 「少しやり過ぎたね」 「えっ…」 何をどう言ったらいいのか頭を混乱させる中、深く突き刺さった傷口から溢れる血を拭おうともせずに批土岐が放った言葉。 その言葉がなにに対して言われたものなのかよく分からなくて、ただ批土岐の顔を見つめる。 「傷付けちゃったね、京灯のこと…」 「批土岐ッ…」 優しく頬を撫でられながら、その指が溜まっていた涙をそっと拭う。 「お仕置きは、もう終わり」 そして艶を帯びたその声に、どこからともなくトクンと中で脈打つ。 「取ってあげるから…行こう?」 「…んッ」 抱き締めるように肩に腕をまわして、耳元で囁かれた言葉。それだけなのに、その一言が最高に俺の脳を痺れさせる。 思わず漏れた甘い吐息、気が付くと自然にゆっくりと頷いていた。

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