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11.ポップサーカス 【4】

ガタァッ 派手な物音をたて、一斉に教室中の視線が集中する。 だけどもう、今の俺にはそんなことを気にしている余裕すらなくて。 椅子を倒したまま、振り向くこともせずに無我夢中で室内から走り出た。 「おい!何処へ行く!!成山!!」 テメェの呼び掛けなんかでこの俺が素直に立ち止まるとでも思ってんのか…! 遠くのほうから俺を呼ぶ怒声が聞こえてきていたけれど、かなりどうでもいい。 冷や汗が噴き出る、もう頭がオカシクなりそうだ。 ブッ… 「あッ…!」 バタバタと授業中なのも構わずに走り続ける。 何処に行きたいなんていう目的はないけど、兎に角この状態をどうにかしなきゃやってらんねえ。 だけどそんな俺を嘲笑うかのように、内部で息を潜めているアレが。 またジワジワと動き出してきた。 「ッ…!!」 走ってらんねえ立ってらんねえ正気でいられねえっ…!! 容赦なく蠢いてくるソレは、俺の気持ちなんか関係なしに内部を掻き乱してくる。 「くっそ…!批土岐のッ…やろおっ…!」 幾らなんでもこれはやり過ぎじゃねえの?! あっ…マジやべえっ…もうッ…! 「京灯ッ…!」 膝がガクついて、もう一秒足りとも立ち続けていられないとばかりにふらついた時、腕を力強く掴まれて引き戻された。 「ひっ…とき…ッ」 振り向くとそこには、授業を抜け出して後を追ってきたらしい批土岐が軽く息をきらしながらそこに立っていた。 顔なんかきっと赤くして、目なんか潤ませちゃってるだろう今のこの俺の情けない姿。 恥ずかし過ぎるッ…つうか大体こんな風にしやがったのはッ…! 「離せッ!触んじゃねえ!」 「京灯、落ち着いて」 「落ち着いてなんていられるか!!ふざけんじゃねえよ!!ここまですることねえだろッ!!?」 そりゃ遅刻する俺が悪いのは当たり前だけど、だからってあんなふざけたモノ中に入れられた状態で授業に出て、微妙な振動に耐えて耐えまくって。 俺を変態にでもしてえのかよ批土岐は!!有り得ねえ!!バカやろう!! 「京灯」 「るせえ!!寄ッ…!!?」 振り払っても振り払っても触れてくる批土岐の心地良い手。頼むから今だけ何処かに行ってくれ…! こんな姿ッ… 見られたくねえんだよ。

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