169 / 170

第169話

食事を終えてお風呂に入り、ルシウスと一緒にベッドに寝転がる。 「今日は楽しかったね」 「そうだな」 宝物に触るように優しく俺の髪を梳くルシウス。逞しい胸に顔を寄せて目を閉じると、「寝るのか?」と聞いてくる。 「ん······でも、昼間に言ったから······」 「別に、レヴァンさえいいなら、いつでも出来るからな。眠たいんだろう?なら今じゃなくてもいい。」 「······ルシウスが欲しいものをあげたい」 「私が欲しいものはレヴァンだけだ。」 キスをされて、至近距離で見つめ合う。 ああ、その顔、すごく好きだ。 柔らかい目元、その瞳の奥には俺を求めているような熱いものがあって、ふっと笑って手を伸ばしルシウスの頬を撫でる。 「ルシウス······愛してるよ」 「っ!わ、私もだ···。愛してる、レヴァン······」 嬉しそうに揺れる尻尾が可愛い。 家族のいなかった俺に手を差し伸べてくれた。 嫌われていた俺を優しく包んでくれた。 そして、何より、多すぎる程の愛情を注いでくれた。 「死ぬまで離さないで」 「ああ。死んでも離してやらないさ。」 俺の、愛しの獣。 『愛しの獣』 END

ともだちにシェアしよう!