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第169話
食事を終えてお風呂に入り、ルシウスと一緒にベッドに寝転がる。
「今日は楽しかったね」
「そうだな」
宝物に触るように優しく俺の髪を梳くルシウス。逞しい胸に顔を寄せて目を閉じると、「寝るのか?」と聞いてくる。
「ん······でも、昼間に言ったから······」
「別に、レヴァンさえいいなら、いつでも出来るからな。眠たいんだろう?なら今じゃなくてもいい。」
「······ルシウスが欲しいものをあげたい」
「私が欲しいものはレヴァンだけだ。」
キスをされて、至近距離で見つめ合う。
ああ、その顔、すごく好きだ。
柔らかい目元、その瞳の奥には俺を求めているような熱いものがあって、ふっと笑って手を伸ばしルシウスの頬を撫でる。
「ルシウス······愛してるよ」
「っ!わ、私もだ···。愛してる、レヴァン······」
嬉しそうに揺れる尻尾が可愛い。
家族のいなかった俺に手を差し伸べてくれた。
嫌われていた俺を優しく包んでくれた。
そして、何より、多すぎる程の愛情を注いでくれた。
「死ぬまで離さないで」
「ああ。死んでも離してやらないさ。」
俺の、愛しの獣。
『愛しの獣』 END
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