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第168話
庭に出て野菜を収穫した。それから泥が沢山あるから、ジークに向かって投げつけると、お返しが来て、二人とももうドロドロだ。
「二人とも風呂に入ってきなさい。」
「はーい」
ルシウスに言われて、ジークと一緒にお風呂に入る。ジークとお風呂に入るのなんて初めてで、すごく楽しい。
お湯の掛け合いをして、遅いと心配してやって来たフィオナさんに怒られて、お風呂から上がった頃には、もう夕方だった。
「ルシウス!ご飯だって!」
「ああ、今行く。」
「今日はジークも、アルフレッドさんも、それにゲートも一緒に食べようよ!」
「皆がいいなら、構わない」
ゲートを誘ってから、急いで部屋に帰ってしまったジークを追いかけ、アルフレッドさんとジークを食事に誘う。
「ね?一緒に食べようよ!」
「いいよ!」
「···皆で食事か。いつぶりだろうな」
少し儚げなアルフレッドさんを、ジークが優しく撫でていた。
「ね、行こう?」
「ああ。」
ジークとアルフレッドさんはすぐに明るい表情になって、俺と一緒にルシウスの待ってる母屋の方に向かう。ルシウスの部屋には既にゲートがいた。
「ルシウス!」
「ああ、来たか」
すぐに食事をするための部屋に移って、五人分の料理が並べられ、いつもよりも賑やかな空間に嬉しくなった。
「アル、これあげる」
「少しは食べろ」
「だって······ねえ、お願い。アルのこれ、食べてあげるから」
「お前が食べたいだけだろう。」
二人のその様子を見て、ルシウスとゲートがクスクスと笑う。
「皆でする食事は楽しいな」
「うん!これからも、たまにでもいいから、皆で食べたいな」
「そうだな」
ルシウスとアルフレッドさんの間にあった隔たりもなくなって、そしてゲートもこうして楽しそうにしているから、俺たちは家族になったんだと感じられた。
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