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第167話
「アルフレッドさんも忙しくて大変なんだね」
「うん。···最近はあんまり遊べないの」
「そうなの?この前は遊べたのにね」
「急に忙しくなったみたい。よくわからないんだけどね」
ジークが唇を尖らせてそう言った。構ってくれないからつまらないみたい。
「でもね、その代わり夜が激しくなった」
「えっ」
「アルもストレス溜まってるみたい。毎晩発散してくる」
「······大変だね」
「ふふっ、昼は遊べないから嫌だけど、夜は沢山触れ合えるから好き」
「ね、ねえ···俺が恥ずかしいから、もうやめよう······?」
ジークはケラケラと笑ってご飯を食べ終わり、「遊ぼ!」と言いながら立ち上がった。
「ルシウスさんは?忙しいの?」
「今は仕事なのかな···。わからないや」
「じゃあルシウスさんも誘おうよ!ほら、レヴァン!行くよ!」
それはいい考えだ。ジークに引っ張られてルシウスの部屋に向かう。大きなその扉をノックもせずに開けて、中に入るとルシウスがソファーに座りながら、苦笑を零してこちらを見た。
「レヴァン···、それにジーク。人の部屋に入る時はノックをしなさい。」
「ごめんなさい。」
「ごめんね。ねえルシウス、今何してるの?」
「今は特に何もしていないが···。何かあったのか?」
「遊ぼ!」
ルシウスに抱きついてそう言うと、優しく笑って「いいぞ」と言いながら俺の頭を撫でる。
「で、何をするんだ?···ああ、そういえばレヴァン。お前が欲しいと言ってからずっと育てていた野菜がもうぐんぐんと育っている。収穫できるやつはしてしまうか?」
そういえば、忘れていた。
慌てて部屋を出ようとした俺の腕をジークが掴む。
「レヴァンは野菜を育ててるの?」
「俺は食べたいって頼んだだけで、何もしてないんだよね。···あ、ジーク!一緒に収穫しよう!」
「いいよ!ルシウスさんも行こう?」
「ああ。」
ルシウスと手を繋ぎ、反対の手でジークと手を繋ぐ。
「果物も育てようよ」
「そうだね!」
新しいことを考える俺たちを、ルシウスは優しい目で見ていた。
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