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第29話
「大変申し訳ありませんでした!!」
勢いよく頭を下げたアドナはもう人型に戻っていて、顔を青くさせていた。
「お二人の前で眠ってしまうなんて···っ!」
「大丈夫だよ!一生懸命作ってくれたんでしょう?」
「ええ!きっと喜んでいただけるに違いありません!」
忙しなく持ってきた服を大きな机の上に出してみせる。
それを見た途端嬉しさが溢れてきて思わずアドナに抱きついた。
「アドナすごいよ!!わぁ〜!格好いい〜!!」
「ひぇっ!レヴァン様!は、離れてくださいっ!」
「どうして?ねえ、ルシウス!ルシウスもこれ格好いいと思わない?」
アドナに抱きつきながらそう言うとルシウスはにこやかに笑って「そうだな」と言う。
「だがな、レヴァン、アドナから手を離しなさい」
「やだ!だってアドナの事好きだもん!ねえアドナ、これ、今着てみてもいい?」
アドナの顔を覗き込むと顔を真っ赤にしてコクコクと何度も首を縦に振った。
「も、勿論です!」
「やったぁ!じゃあ、ちょっと待っててね!」
服を持って急いで別の部屋に移動する。
ここで着替えても良かったんだけど、アドナがいるからそれはやめておこう。
さっき見た格好いい服を実際に着ると自分が格好よく見えて嬉しい。白を基調としたスーツの差し色に優しい黄色が入れられていてとても綺麗だ。
「ルシウス!アドナ!見て!」
部屋に戻って2人の前で一回転してみると2人とも笑って「似合ってる」と言ってくれた。
「ルシウスとお揃いの色!」
「ああ、可愛いぞ」
「格好いいって言って」
「だがレヴァンには可愛いや綺麗といった言葉の方が似合う」
満足そうに笑うルシウスは一旦無視をして、アドナの方を振り返る。
「こんなに素敵なものを作ってくれてありがとう!」
「い、いえいえ!私の仕事ですから」
「ねえアドナ、これからは仕事だけじゃなくて、俺と話をしにも来てくれないかなぁ」
「えっ、えぇっ!?」
驚いた様子のアドナと、ルシウスに許可も得ずに勝手に言ったことでルシウスも少なからず驚いてる。
「いいでしょう?だめ?」
「も、勿論私でよければレヴァン様の話し相手になりますが···私、話は上手くありませんよ···?」
「ううん、アドナといると楽しいから!」
ルシウスも何も言ってこないからアドナが友人としてここに来ることに何の文句もないのだろう。
「俺のことはレヴァンでいいよ。俺自身は何も偉くないんだし、それに、これからはアドナの友人だしね」
「は、はい!」
ちゃんとした友人は初めてだけど、こんなに心温まるものなんだと思うと、友人という存在を作れて良かった。
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