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第131話
「レヴァン、少し落ち着こう。私も理解したいんだがどういうことかわからないんだ。」
深呼吸をして自分の膝に視線を落とす。
「ゆっくりでいい、話してくれないか?」
「···ルシウス」
言いたいことは沢山ある。
けれどうまく言葉に出来なくて、結局いつも俺はルシウスを困らせる。
「レヴァン、いい事を教えてやろう」
「いい事···?」
ルシウスに抱っこされて背中をとんとんと撫でられる。
「私はレヴァンの事が何よりも大切だ。だからレヴァンが悲しいのなら助けてやりたいし、その原因を取り除いてやりたい。もしそれが仮に私だとするならどんな事をしてでもレヴァンを悲しませないようにしてみよう。」
「何言ってるの。俺はむしろ、ルシウスを困らせてばっかりで···」
「困ってなんかないさ。レヴァンは考えすぎだ。たまに息抜きをしなければ苦しくなるぞ」
「でも···」
「レヴァンはそればかりだな。そうだ。少し私と出掛けよう」
ルシウスに抱っこされたまま邸の中を歩いて外に出る。
少し歩くと目の前に広がった草原。ゆっくりと地面に下ろされて、そこに座る。
「暖かいね」
「ああ。気持ちいいな」
ルシウスに凭れ掛かると優しく笑って俺の髪を撫でた。
「ルシウスのこと、たくさん避けたんだ、俺」
「そうだろうとは思っていた。だが今はこうして話してくれる。私はそれが嬉しい」
「ルシウスのこと、好きなのに···わかってあげれないの」
「何がだ。レヴァンは私のことをとても良く理解してくれているだろう。私が疲れている時も誰よりも早く気付いてくれるのはレヴァンだ」
抱きしめられてそっと頬を撫でられる。
「それに今回は私が悪い。私がしっかりと言葉で伝えなかったから、レヴァンがわからないのは当然だ」
「でも、ジークはわかるって···」
「それが本当にあっているかどうかはわからないだろう?」
ルシウスは優しい言葉をくれる。
「好き、ルシウス」
「嬉しいな。私も大好きだぞ。···レヴァン、もうそろそろ部屋に帰ってこないか?」
「うん。ねえルシウス」
「何だ?」
「···部屋に帰ったら、俺のことたくさん愛して」
そう言うとルシウスは俺を抱っこして立ち上がる。
「すぐに帰る」
「ふふっ」
少しだけ赤くなったルシウスの頬を見て俺も少しだけ顔が熱くなった。
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