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第130話

ジークと話したことを思い出すと胸の中がモヤモヤする。 あの感じだと多分、いや絶対···俺が悪いんだよな。 ルシウスが俺を思って何かを提案したり、これをしなさいって言う言葉や、俺が心配だから怒ったりされるとどうしたらいいのかわからなくて、いつも···いつも俺はそのわからない事にイライラしてルシウスに当たってしまう。 同じテーブルで食事をすることも最近は無い。 俺が部屋にこもっていてもルシウスはここには来ない。きっともう呆れられてる。 「···だって心配とか、あの日以来された事ないんだもん」 母さんが死んだ日から、全く。 ベッドにダイブしてクッションを抱きしめる。 どうしたらいい? 俺の思ってること全部、ルシウスにぶつけてみたらいい? けれどだから何だって言われたら······。 いやいや、ルシウスがそんなこと言うわけがない。 普段なら何でもないことがこういう時に限って不安になる。 ルシウスのことなら誰よりも知っている自信があったのに、今じゃオスカーさんやフィオナさん、アルフレッドさんに···更にはジークよりも、知らない気がする。 「あーー!!もうっ!!」 クッションをベッドに思い切り叩きつける。 バフバフと音がなりホコリが立つけど気にしてられない。 「何の音ですか!」 ノックもなしに部屋に入ってきたフィオナさんは俺の様子を見て嫌そうな顔をした。 「窓を開けなさい!」 「······はぁい」 「それからいつまでもそんな格好をしていないで着替えなさい!」 「今から寝るからいい」 「寝る!?時計が読めませんか!?まだ、真昼間です!」 フィオナさんが大股で近づいてくるのが怖くてベッドから飛び降りて部屋から脱出する。 後ろから「待ちなさい!」と声が聞こえてくるけど此処で捕まってしまえばきっと怒られる! 「怒らないでよぉっ」 フィオナさんから走って逃げて角を曲がった。 「うわぁぁっ!」 「っ!」 途端、誰かに思い切りぶつかってゴロゴロと転げちゃう。 慌てて謝ろうと体勢を取り直すと、俺が謝るよりも先に「大丈夫か!」と聞きなれた声が聞こえて顔を上げる。 「···ルシウスだ」 「ああ、怪我は」 「ないよ。ぶつかってごめんなさい」 「いや、私の方こそすまなかった」 手を貸してもらって立ち上がる。 久しぶりにルシウスを見た気がして、何だか涙が溢れてくる。 「れ、レヴァン!?どうして泣いているんだ!やはりどこか痛むのか!?」 「違う、違うの」 涙は止まってはくれなくて、ルシウスに抱きつくとポンポンと頭を撫でてくれる。 「ごめんなさい···ごめんね、ルシウス···ごめん」 「と、とにかく部屋に行こう。何を謝ってるのかはわからないが泣かなくていい」 「ルシウスぅ」 「よしよし。ほら、部屋に行くぞ」 ルシウスに連れられてルシウスの部屋に戻る。 ソファーに座って「で、どうして泣いてるんだ」って聞いてきたルシウスが優しくてどうしたらいいのかわからなくなる。 「レヴァン?」 「る、ルシウスが···ルシウスが優しすぎるから、ダメなんだよぉっ」 「は?」 「だって俺、知らないもんっ。心配とか、そんなことされたことないから···どうしたらいいのか、わからないんだよぉっ」 ルシウスの顔も見れない。 だってそれくらい恥ずかしい。 年下のジークにだって分かることが俺にはわからないから。

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