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第129話
「アル、外行かない?」
「···行く」
アルと手を繋いでベッドから降りる。
邸を出ても手を繋いだまま、草原の中に生えている小さな花や、飛んでいた虫を捕まえたりして二人で遊ぶ。
「アル、大好きだよ」
「···何だ突然」
「なんかね、伝えたくなった」
アルに抱きついてキスをすると顔を少し赤くして抱きしめ返してくれる。
「アルは優しいね」
「そうか···?俺はお前の方が優しいと思う」
「そんな事ない。だって···アルはいつも俺のことを一番に考えて行動してくれるんだもん。俺はアルにそんなことしてあげたことがない。これからはそうするつもりだけど···」
「そんなことしなくていい」
原っぱに二人して寝転んだ。
アルは俺が汚れないように腕枕をしてくれて、反対の手で俺の髪を撫で「ジークはジーク自身を大切にしてくれたらいい」と優しく言う。
「アルは、アル自身を大切にしてる?」
「さあな」
「アルが自分を大切にするなら、俺もそうする」
そう言うと困ったように笑ったアルが俺の手を取って口元に持っていった。
「俺も、そうするよ」
「本当···?」
「本当」
「ならもう何が悪いことが起こっても大丈夫だね!」
「何でだ?」
不思議そうな顔をするから「だって···」と理由を教えてあげるために口を開く。
「だって、自分達を大切にして、それからお互いのことを大切にできるんだもん!だから俺たちに何かがあっても二人で考えれば俺たちにとって悪い方には進まないよ」
「そうか。そうだといいな」
「うん。そうなの。」
アルに擦り寄って「獅子になって」と頼めばいつもの格好いい黒い獅子になってくれる。
フワフワした鬣に顔を埋めてグリグリするとアルは笑って俺の頬をぺろりと舐めた。
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