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第128話
レヴァンとルシウスさんはまた喧嘩をしたらしい。
俺の後ろに座るアルはもう若干呆れ気味で目の前に座るレヴァンの話を聞きながら俺の髪をいじって遊んでいる。
「で、ルシウスさんの考えがわからない、と···」
「うん。勉強しろって言ったり無理するなって言ったり」
どちらをとってもルシウスさんはレヴァンの為になることを言ってくれている。
なのにそれにも気付かないようで、アルにもたれながら「えっと···」と考えて口を開いた。
「全部レヴァンの為に言ってくれてるんだと思うけどな」
「何で?」
「だって結局勉強をすればレヴァンの知らないことが減るんだ。恥ずかしい思いをしなくて済むことがあるかもしれない。無理するなっていうのは、体調が悪いとか···そういう時はしなくていいからって、言ってくれてるじゃん」
「············」
「レヴァンはもう少しルシウスさんのことを見てあげるべきだよ」
「···見てる、つもりだよ」
俯いたレヴァンは突然勢いよく立ち上がり部屋を出ていってしまう。もしかしたら怒らせてしまったのかもしれない。
「怒ったかな」
「今のジークの言葉で怒るなら、まだまだあいつは子供だな」
ちゅ、ちゅって項に何回もキスをしてくるアル。
お腹に手を回されて、強く抱きしめられるともう動きたくなくなっちゃって、アルにされるがままになる。
「アル、頭撫でて」
「こうか」
「うん。···落ち着く」
俺はアルに心配されたり、俺の為に怒ってくれたり、悲しんでくれたりするのは嬉しい。
それだけ俺のことを愛してくれてるってわかるから。
「レヴァンはもしかしたら心配される事や自分の為に何かをしてもらったことが少ないのかな」
「何でだ」
「だって···ほら、そういう時にいつも喧嘩してない?」
「···あいつはここに来る前何をしてたんだろうな。」
「ご両親は亡くなったって言ってたよ」
あとは前にいた村では嫌われていたとか、レヴァンの歩いてきた道は色々と大変だったみたい。
「そういえば···ルシウスさんとアルのご両親は今どうしてるの?」
「···さあ。ルシウスは知ってるかもな」
「気にはならないの?どんなことがあってもアルの両親には変わりないでしょ」
「もう、ならねえよ。」
アルが俺の首に顔を埋めた。
きっと俺は今アルを悲しませた。
「ごめん」
「別に、何も思ってねえよ」
そういう割に、アルは一向に顔を上げることは無かった。
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