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第37話 あなただけのもの
沢井の熱い舌に口内をあますところなく蹂躙され、黒崎の脳裏で何かがスパークする。
「和浩さ……あっ……ああ……」
下腹部がじっとりと熱くなる。
下着を濡らしたものの正体は、精液。
やだ……俺、キスだけで、こんな……。
黒崎は沢井に与えられた深いキスだけでイッてしまったのだった。
「雅文……可愛い……好きだよ……」
完全に腰から力が抜けてしまい、沢井の体に自分の体を預ける黒崎に甘い囁きが贈られる。そして沢井は黒崎を姫抱きにした。
リビングを横切り、ベッドルームの扉を開けると、二人で暮らしだした時に購入した広いベッドの上に黒崎をそっと降ろす。
「……和浩さん、ありがとう。向かえに来てくれて……」
和浩さんが来てくれなかったら、俺は……。
「だって、おまえは俺だけのものだから……そうだろ? 雅文」
「うん」
黒崎が切れ長の目を見つめ強くうなずくと、沢井はもう一度強く抱きしめてくれた。
愛する人の香りと包んでくれる腕の力強さ。
この四日間、黒崎を支配していた怒りや恐怖や不安、悲しみ、全てのマイナスの思いが浄化されて行く。
黒崎は沢井の背中に回した腕に力を込める。
「和浩さん……離さないで……」
「絶対に離さない……雅文」
二人はもう一度深く淫らなキスを交わした。
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