13 / 114
再会②
いつものようにバイトへやって来た渚。
あの少年を助けてから丁度一週間経ったなぁなんて思っていると、フッとあの時と同じように甘い香りが漂ってきた。
まさか彼がいないよななんて思っていると、男に絡まれている人物を発見する。
間違いない、あの時の彼だ。
見ると相手の男はこの前の男達とは違い、一筋縄ではいかないような雰囲気を感じた。
近づいて行くと、彼らの会話が聞こえてきた。
「君はΩ?」
「え……?」
この会話に渚は一旦足が止まった。
Ω……?
彼が……?
Ωと言う存在に会った事がない渚は衝撃だった。
とは言えマイナスな感情と言う訳ではない。
勿論驚きはしたが、彼が危ない、早く助けなければと言う焦燥感から来る衝撃であった。
気付いたらまた、先日と同じように彼を助けていた。
「君ってΩなの?」
渚の問いに叶芽は戸惑った。
さっきの会話を聞かれていたのだと。
もうΩだと知っているのだろうが、そうだと答えたら彼は自分を拒絶するのだろうか?
Ωが嫌われているのは知ってる。
高校でもΩだからと人があまり近寄っても来ない。
別に佑真さえ友達でいてくれれば他に友達なんて要らないと思っているから気にはならなかった。
でも、今明確に彼には嫌われたくないなと思ってしまった。
なんでそう思うのかは分からない。
1,2度ほんのちょっと会っただけの彼なのに……
「えっと………」
答えに困っていると渚が先に言葉を口にする。
「別に、Ωだなんだどうでもいいけどさ、もうちょっと自覚持った方がいいよ。
可愛い顔してんだからさ」
「俺可愛い顔なんてしてないし!!」
可愛い顔と言う言葉をすぐさま否定しむくれる叶芽に、なんだか可笑しくて笑ってしまった。
そんな渚に怒る叶芽がまた可愛らしくて余計に笑ってしまった。
ともだちにシェアしよう!