18 / 114
再会⑦
「ただいま」
「お帰りー」
家に帰るといつものように弟妹が出迎えてくれる。
すると次女の日和が渚の持つ紙袋に気が付いた。
「これ何?」
「ん?ああ……
ちょっとね、人助けしてお礼にって貰ったんだ」
「へぇ~、人助け?」
「ん~まぁちょっとね……」
あまり人の事をベラベラ喋りたく無いので適当に誤魔化した。
日和が中を見ていいかと言うのでいいよと言うと、テーブルの方に持っていって他の兄弟と中身を出してみる。
「うわぁクッキーだ!!」
三男の瑠樹が叫ぶ。
「なんかめっちゃオシャレなんだけど。
これっていい奴なの?」
今度は長女の菜々。
「いや知らないけど……
って言うかそう言うの詮索しないの。
折角くれたんだから厚意に水差さないで」
こう言うのは値段じゃない。
気持ちである。
だから本当はブランドやら値段やら考えず、美味しく頂きたいのだ。
「あ、ブランド書いてある。
これ検索してみてよ」
「おい、話し聞きなさいよ!!」
渚の話しも聞かず勝手に話しを進めていく。
「ちょ、スペル間違ってる。
貸して」
「ヤダ。今私が使う時間なの!!」
1台のスマホを囲む彼ら。
うちではスマホは自分で稼いで自分で払うと言う決まりなので、渚はバイトから支払っているので自分のスマホを持てているが、弟妹は皆で1台を時間を決めながら順番に使用している。
特に中学生の唯人と菜々は周りが自分のスマホを持っているので、自分のスマホを欲しがるが仕方無い。
どうしても調べたい物がある場合は渚のスマホを貸している。
「え、これめっちゃ高い奴じゃん!!
ヤバッ!!兄ちゃんこれヤバい!!」
唯人がヤバいヤバいを連発するので見てみると、叶芽のお礼の品は超高級品だった。
「…………マジで?」
ともだちにシェアしよう!