「えっとじゃあまずここから。 唯人君分からないとこある？」 「ん～ここ全部」 　早速唯人の宿題を見てあげる叶芽だが、人に教える事は今まで無かったのでこれが中々難しかった。 　すると横からそっと渚が冷たい麦茶を差し出した。 「ごめんねカナちゃん。 こいつバカだから大変でしょ」 「いやそんな……」 「兄ちゃんヒドい……」 　でも確かに唯人は根本的な問題も分かってなかったので、1問解くだけでも時間がかかる。 　いつも教えられる立場だったので、教える立場になるとちゃんと理解していないといけないので逆に勉強になる。 　麦茶を頂きながら勉強を進めていくといつの間にか叶芽の周りに弟妹まで集まってきた。 「ねぇ私にも教えて欲しいんだけど」 「俺もー」 　そう言って彼らも教科書やノートを持ってきた。 「え～っと……… うん、いいよ……」 　無理とは言えないのでいいよと言うと一斉にここ教えてや私が先や、ここ分からないなど喋り始めたので渚に助けを求めるように彼を見る。 「こらお前ら!! カナちゃん困ってるでしょ!! 頼むから俺の友達困らせないで」 　渚がそう言うと皆大人しくなった。 　やはり長男は凄い。 「ねぇねぇカナちゃん」 　渚が家事に戻ると妹、菜々が話し掛けてくる。 　しかもカナちゃんと渚が呼ぶニックネーム。 「菜々ちゃん、だっけ。 何？」 「いや、カナちゃんは彼女いるの？」 「え!!い、いない……けど……」 「じゃあ好きな人は？」 「え、いないけど……」 　年頃の菜々は叶芽と言うイケメンに興味津々のようだ。 「カナちゃんってキレーな顔してるよね～。 モテるでしょ？」 「いや、そんなこと無いよ。 俺まだ恋人いたことないし……」 　そう言うとうそーと、絶対モテそうなのにと驚く。 「え～じゃあどう言う人がタイプ？ 私も立候補してもいい？」 「え、いや……」 「おい菜々うるせぇよ。 つうか困ってんじゃん。 また兄ちゃんに怒られるぞ」 　ここは唯人が助けてくれた。 　正直恋バナは苦手だ。 　今まで縁が無かったのでどう反応していいのかが分からない。